「悪魔が来たりて笛を吹く」横溝正史
★★★★☆
実家に何冊もまとめてあった(とにかく表紙が怖すぎるシリーズ!)ので、最近よく読んでいる横溝正史の金田一耕助シリーズです。
やっぱり横溝正史の探偵小説はおもしろい!
って思えた1冊でした。
今回読んだ「悪魔が来たりて笛を吹く」では、実際の起こった事件”帝銀事件”を題材にしたストーリー構成になっていて、当時実際に捜査で使用したモンタージュ写真の要素も物語に上手に絡めて作られている。
さらに、太宰治の「斜陽」から流行した”斜陽族”というものもうまく物語に取りこんでいて、そのあたりが江戸川乱歩に言わせると「通俗的」なのかもしれませんが、個人的には実際にあった事件などをうまく小説に取りこんで新しい物語を構成するやり方は凄く好きなので、面白かったです。
こちらの小説は日本一有名と言ってもいい金田一耕助の登場するシリーズの1作で、時代背景としては昭和22年(1947年)の出来事。金田一的には「黒猫亭事件」と「夜歩く」の間に起きた事件だそうです。
昭和22年9月28日。金田一の元を訪れた美禰子は、世間を騒がした天銀堂事件の容疑を受け、その後失踪し遺体が発見された椿元子爵の娘だった。
死んだはずの父、椿子爵らしい人物を目撃したという美禰子の母秌子はそのことに対して異常におびえている。
そこで、椿子爵が本当にまだ生きているのかを占うため、椿邸にて砂占いが行われることになり、金田一はそこへ同行することになった。
椿邸にて、椿家の家族と共に行われた砂占いだったが、途中で停電が発生。
停電から復旧すると、椿子爵が亡くなる直前にレコーディングした曲「悪魔が来たりて笛を吹く」の旋律が家中に響き渡る。
そして、その夜。椿邸にて一緒に住んでいる玉虫元伯爵が何者かによって殺害される。
犯行当日、椿邸でフルートを持った椿子爵と思われる人物が目撃されていた・・・・・
といった内容。
内容というか物語の導入部分ですね。
この事件からいわいる連続殺人事件の幕が開けるわけです。
とにかく、用意している小道具が素晴らしいです。
死んだはずの椿子爵が現れたり、その死んだ椿子爵が最後に残したフルート曲「悪魔が来たりて笛を吹く」の恐ろしい旋律。砂占いで浮かび上がる悪魔の紋章。
そして、一族の名誉を傷つけるこれ以上ない屈辱、不名誉。
これらの仕掛けを沢山用意され、おどろおどろしい殺人事件の世界へとどんどん深く入っていくことができる装置になっています。
この世界に入ってしまうと、読書というのが一種の別世界への旅であることを強く感じます。
横溝正史の探偵小説はとにかくこの物語の世界へ巻き込む力が凄いと思います。
正直に言えば、かなり無理のあるストーリー構成のものが多いのですが、そんなのもうどうでもよくて、金田一耕助のいるその世界。おそろしい殺人事件が次々に起こってしまうその世界に一旦足を踏み入れてしまうと、好奇心を刺激され、その世界からはなかなか抜け出せなくなる。
そんな力を持っている小説なのではないかと思いました。
特にこの「悪魔が来たりて笛を吹く」や「八つ墓村」などは、かなりその巻き込んでいく力の強い作品だと思いました。
この作品では、物語の謎の部分が神戸に隠されていて、割と地元の話題が小説に登場するのでその辺はなんか聖地巡礼したい気もしました。
淡路島に行きたい!って思ってしまいましたよ。
横溝正史の探偵小説読みたいけど、どれから読んだらいいかわからない、って方にもおすすめの1冊です。
金田一のシリーズは「本陣殺人事件」(感想はこちら)というのが1作目なので、ここから読むのが妥当なんでしょうけど、面白いところから読みたいのであれば先ほども書いた「八つ墓村」か、この「悪魔が来たりて笛を吹く」辺りから読むのが間違いない気がします。
気になった方はぜひ読んでみてください。
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