「神様」川上弘美
★★★★☆
川上弘美のデビュー作である「神様」をむくむ9つの物語が収録された短編集です。
実は川上弘美の小説を読むのはこれが初めてでした。
有名な作家さんなので本屋さんなんかではよく見かけていたんですけど、なかなか手に取る機会がなくて今まで来てしまったんですけど、今回初めて読んで思ったのは
好きな感じ!
ってことです。
他の作品もぜひ読んでみたいと思いました。
タイトルになっている「神様」に関しては、2011年に加筆された「神様2011」という作品が学校の教科書に載っているらしく、なんか色々と話題になったようなんですけど、正直その件に関しては全く知りませんでした。
なので、今回は純粋にデビュー作である「神様」を含んだ9つの物語に関しての感想を書きたいと思います。
収録されている物語は以下の9つ。
「神様」
「夏休み」
「花野」
「河童玉」
「クリスマス」
「星の光は昔の光」
「春立つ」
「離さない」
「草上の昼食」
どれもタイトルが絶妙で好きです。
デビュー作である「神様」は
くまにさそわれて散歩に出る。
という一文から始まります。
くまに散歩にさそわれた主人公が川原に行ってお魚をとって、お昼寝をして、家に帰る。
それだけの物語です。
一見子供向けの児童文学にも見えますが、これがなかなか大人が読んでも面白いんです。
タイトルの「神様」というのも凄く不思議で、主人公がくまと別れ際に
熊の神様のお恵みがあなたの上にも降り注ぎますように。
というところで初めて「神様」という単語が登場する。
それを受けた主人公は
熊の神様とはどのようなものか、想像してみたが、見当がつかなかった。悪くない一日だった。
と物語を締めくくるんです。
この終わり方は凄くいいと思いました。
「神様」という壮大なタイトルの小説なのに、くまとお散歩するだけの話で、神様は熊の神様で、それってどんなの?ってなるって話しが凄く素朴だし、なんだか深い意味があるような気がしないでもないです。
この物語を皮切りに、次々と繰り広げられる不思議な物語がどれも素晴らしいんですよ。
「夏休み」では、梨園でアルバイトをする主人公が出会う梨の妖精のような不思議な生き物との交流を描いたもの。
「花野」には、亡くなった叔父と世間話をする物語。叔父は心にもないことを言うと消えてしまう。
「河童玉」は友人のウテナさんと共に河童の国で、河童の夫婦の悩み相談を受ける。
「クリスマス」ではウテナさんがくれた骨董品の壺に住んでいるコスミスミコという小さな女の子とクリスマスを迎える物語。
「星の光は昔の光」は隣の部屋に住んでいるえび男くんと、感じを形に例えたらどんな形になるか?という話しをしたりする。
「春立つ」は居酒屋猫屋のカナエさんが若い頃に体験した不思議な出来事を聞く。
「離さない」は上の階に住むエノモトさんが拾ってきた人魚を巡る物語。
「草上の昼食」は再びくまにさそわれ散歩に出る。そして、くまが故郷に帰る物語。
どの物語も不思議な要素があります。
くまがおしゃべりしたり、梨の妖精が出てきたり、河童や壺に住む女の子、人魚などなど。
メルヘンちっくな設定と、女性の作家さんらしい優しい目線や文章が凄く心地よかった。
どの物語も独立した物語なんですけど、全てが通じている物語になっているので、1冊の本で1つの物語という読み方もできてとても面白かったです。
ぜひ川上弘美さんの他の小説も読んでみたいと思いました。
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