「すきまのおともだちたち」江國香織
★★★★☆
江國香織の作品は「ウエハースの椅子」(詳しい感想はこちら)以来2冊目になります。
「ウエハースの椅子」を読んで凄く良かったので、他の本も読んでみたいと思って読んでみたのが今回の「すきまのおともだちたち」です。
この小説は子供が読んでも楽しめるようなかわいらしいファンタジックな内容になっているに、ちゃんと大人が読んでも心に何かが残る作品になっていました。
凄く好きな感じの小説でした。
新聞記者の「わたし」は取材先の街で恋人に宛てに書いたハガキを投函しようと郵便局を探しているうちに道に迷ってしまいます。
周りを見渡しても、今まで見ていた街の景色とはずいぶん違います。
そこで、「わたし」は不思議な少女と出会います。
少女は「小さなおんなのこ」と名乗り、「わたし」はしばらく「小さなおんなのこ」の家に滞在することになります。
「小さなおんなのこ」には両親はいなくて、車の運転ができるお皿と暮らしていました。
「小さなおんなのこ」と過ごす不思議な生活は心地よく安心感のあるものでしたが、ある日突然元の世界へ帰ることになった「わたし」。
元の世界ではまったく時間が経過しておらず、「小さなおんなのこ」の住む世界に迷い込んだ日に帰ってきました。
それから、数年が経ち、恋人と結婚し妻となった「わたし」は、ふとした瞬間に再びあの「小さなおんなのこ」の住んでいる不思議な世界へと迷い込んでいきました。
「小さなおんなのこ」はあいかわらず「小さなおんなのこ」のままで、「わたし」だけが年を取っています。
再び「小さなおんなのこ」と同じ時間を過ごす「わたし」。
こんな風に度々、「ふいにすきまに落ちるように」その世界を何度も訪れる「わたし」と「小さなおんなのこ」の長い長い友情の物語。
と、いった内容です。
いわいるファンタジーでよくある
異世界へ迷い込む
という設定の物語です。
「不思議の国のアリス」以来の伝統ですね。
この手の物語は世の中に沢山あると思うのですが、この「すきまのおともだちたち」はその中のもかなり良くできた物語なのではないかと思いました。
ふとした瞬間に異世界に行き、そこには永遠の少女が出迎えてくれる。
異世界に行っている間は現実世界では時間の流れが無いのに対して、異世界ではちゃんと時間が流れているようで、「わたし」が急にいなくなって何年も顔を出さない、といってお皿が怒ったりする。しかし、「小さいおんなのこ」は永遠に年を取ることはなく少女のまま。
この、矛盾しているような設定いい。
そして、おもしろいのが異世界で出したハガキがちゃんと現実世界で相手に届いていること。
つまり、異世界なんだけど繋がっている部分があって(まぁだからこそ「わたし」も度々その世界を訪れることができるんでしょうが)その繋がりが物語をおもしろくしているような気がしました。
あと、この異世界を描いたファンタジーが凄く良かったのは、
説教がない
って部分です。
他にもこのような異界ものっていうのは数々あるのですが、ほとんどの物語はなにかと説教くさいんです。
子供が読むから、子供になにか教訓じみたものを与えたいのかなんか知らないですけど、とにかく説教くさいものが多い。
しかし、今回読んだ「すきまのおともだちたち」は説教くささが全然感じなかったんです。
でも、ちゃんと心に残る何かがある。
それでいいと思うんですよね。
子供がもし、この物語を読んだとしても具体的な何かを受け取ることはないかもしれないけど、何かが心に残るような気がします。
それで十分文学の役目は果たしているのかな、と思います。
さらに、この本の見どころなんですが、挿絵がとにかくかわいい!
これに尽きます。
そもそも、表紙の絵がかわいかったらこの本を手に取ったんですけど、本の中にも挿絵が入っていて全てが凄くかわいらしいのです。
表紙を開いた瞬間飛び込んでっくるのがこの絵↓ですからね。
これはね、心つかまれますよ。
そして、物語の世界へ引き込まれましたね。
「小さなおんなのこ」も凄くかわいいんです。
絵を描いているのは、こみねゆら という絵本作家の方。
小説の世界観ととてもマッチしていると思いました。
気になった方は是非読んでみてください。
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