「ノスタルジア」
★★★★☆
【公開】1983年
【製作国】イタリア、ソ連
【上映時間】126分
【監督】アンドレイ・タルコフスキー
【原題】NOSTALGHIA
ソ連からイタリアに亡命したタルコフスキーは初めて異国の地で撮影した作品。
映像詩人といわれるタルコフスキーらしい、幻想的な映像で綴られた一遍の詩のような映画です。
その幻想的な映像を見ていると心が落ち着いて眠ってしまうこと請け合い!
これは悪口ではなく、むしろ褒め言葉なのですよ。
リラックスし過ぎて本当に眠たくなるんです、まるでシガーロスの音楽を聴いているような感覚です。
タルコフスキーの作品はこの
眠る
という行為込みで物凄くいい作品なんじゃないかって勝手に思っております。
不眠症の人は薬なんか飲まないでタルコフスキーの映画を見ればいいのに、って本気で思いますもん。
祖国を追われた詩人アンドレイ。
彼は不治の病に侵されながらイタリアで放浪の旅を続ける。
故郷への想いや、死への恐怖などに苛まれつつ、幻想と現実の狭間を旅していく。
旅の果てで出会ったドメニコという老人から
「ロウソクの火を消さずに広場を渡るように」
という謎めいた依頼を受ける。それが世界の救済につながるというが・・・・・
この映画のストーリーを説明するのはとても難しです。
ストーリーはあるにはあるんですけど、その内容はほとんど詳しい説明がありません。
謎と幻想に満ち溢れています。
特に不思議なシーンは、ドメニコが住居としている廃墟にアンドレイを招くと、そこには
1+1=1
という不思議な数式が書かれているシーン。
これって、一体どんな意味があるんだろう?
凄く気になるんですが、私の理解力では理解できませんでした。
そして、この廃墟ってのがいかにもタルコフスキーらしい水びたしの廃墟なんですよねー。
タルコフスキーの映画には印象的に水の流れるシーンが繰り返し使われているようなイメージがあります。
「ストーカー」や「惑星ソラリス」やでも、そのようなシーンがあった気がします。
とにかく、この映画は物語を楽しむ映画ではなく、映画の持っている世界観や、美しくて幻想的な映像世界を楽しむもの、と勝手に解釈してます。
とにかく、どこを切り取っても絵になる。
美しい。そして、幻想的!
これは、この手の映画が好きな人にはたまりません。
主人公はタルコフスキー自身の分身と思われます。
故郷を離れ亡命者となったタルコフスキーの心の情景を投影したような映画なので、一種の私小説的な内容なのかもしれません。
個人的にはタルコフスキーの作品は原作のある「ストーカー」や「惑星ソラリス」などの方が好きです。
やはり、物語が少しは理解できる内容の方が映画の世界に入り込みやすいような気がするので。
予告編
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