「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」村上春樹
★★★☆☆
2013年に発売された村上春樹13作目の長編小説。
いつも、文庫が出るまで待っているんですけど、なかなか文庫が出ないので単行本で買ってしまいました。
村上春樹の小説は基本的に結構読んでいるんですけど、今回の長編小説は1冊で終わってサクっと読めるなぁ、なんて思って読み始めたんですけど、こいつはなかなかの曲者でした。
気分が落ち込んでいる時に読むとかなりキツかったです。
主人公である多崎つくるの人生があまりにも気の毒で、なんだか自分を見ているようでツラかったです。
多崎つくるは高校時代、4人の友人とグループを作り常に行動していた。
そのグループは奇跡的な一体感を持っており、5人で1人のような感覚せさえあるグループだった。
高校を卒業し、つくる以外の4人は地元名古屋の大学に進学したが、つくるは自分は東京の大学へ進学する。
大学2年になったある日、突然グループから切り離される。
その4人とはそれ以後連絡が取れなくなったつくるは、それから半年間は死ぬことだけを考えて過ごすことになるが、じょじょに回復し、なんとか通常の生活を送れるようになっていく。
つくるは大学卒業後鉄道会社jに就職し、駅を作る仕事をしていた。
つくるは2つ年上の女性沙羅と交際することになるが、沙羅に高校時代のグループの話をすると、その4人と会い、一体なにがあったのかを追求するべきだ。と言われ、16年ぶりにグループのメンバーと会い、167年前に一体何があったかを聞き出す旅に出る。
と言った内容。
このグループのメンバーが
赤松慶
青海悦夫
白根柚木
黒埜恵里
という名前で、多崎つくる以外は色を持っているんですよ。
だから「色彩を持たない多崎つくる」なんですよねー。
この仲間外れ感が半端ないです。
そして、つくるの周りには不思議と色彩を持った人物が登場する。
しかし、色彩を持った人々はなぜかつくるの元から離れて行くんですよ。
しかも、ある日突然、理由もわからないまま・・・・・
つくるは自分は色彩のないからっぽな人間で、自分に近づいてきた人は自分が空っぽであることに気づき去っていくんだ。
なんて考えるんですよ。
これがもう読んでて本当につらい!
もともと空っぽであったものが、再び空っぽになっただけだ。
とか考えるんですよー!
なんと言うか、自分も普段から空っぽな人間だなぁ、って薄々感づいてたんですけど、この小説を読んで、完全に
俺も空っぽだ!色彩がない!!
って凄く感じでしまったのですよ。
これが読んでて本当にキツかったです。
で、肝心の小説としてはどうなんでしょうか。
過去の長編小説と比べると少し物足りなさを感じてしまいました。
村上春樹の長編小説はだいたい好きなんですけどねー。
とりあえず、この本を気分が落ち込んでいる時に読むのはあまりおすすめしません。
元気な時にどーぞ!
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