「叶えられた祈り」トールマン・カポーティ
★★★☆☆
カポーティの遺作となった小説。
この小説は「冷血」(感想はこちら)を読んでから読もうと思っていました。
プルーストの「失われた時を求めて」の現代版という意欲的な作品で、カポーティはヨーロッパとアメリカの上流社会の狭い世界を描き出すのが目的だったそうです。
しかし、結局この作品は未完で終わってしまいます。
カポーティの死によって作品は完結することがなかったのでした。
主人公が孤児で、男娼をしたりしているってところが、最近読んだジュネの「泥棒日記」(感想はこちら)とイメージがかぶっていいました。
小説家を目指す主人公はカポーティの分身とも言われています。
しかし、小説の中では本を出版するもまったく話題にならず、主人公は作家としての才能に疑いを持ってしまいます。
最初にも書いたように「失われた時を求めて」の現代版として書き始めた作品なので、小説の中でも主人公が「失われた時を求めて」の持論を述べるシーンがありました。なかなか面白い内容でした。
他にもサリンジャーに関する持論を述べるシーンなどもあり文学好きにはビビっとくる内容です。
しかし、カポーティはこの小説は実在の人物を実名で登場させ、名前を変えていてもすぐに誰かわかるような書きかたをしているので、社交界から大きな怒りを買ってしまいます。
「冷血」の取材でも魂を削るような取材だったし、さらにこの「叶えられた祈り」でも大きな傷を残すことになりました。
彼がドラッグや酒に依存してしまった大木が原因がそこら辺にあるのかなぁ、と思います。
ちなみに、タイトルの「叶えられた祈り」というのは聖テレサの言葉
「叶えられなかった祈りより、叶えられた祈りのうえにより多くの涙が流される」
からきているそうです。
この言葉はそのままカポーティが「冷血」で名声を得たが、それが原因で人生が壊れてしまった様子をイメージさせる言葉だなぁ、と思いました。
気にになった方はぜひ。
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