「冷血」トールマン・カポティ
★★★★★
1959年に実際に起こった殺人事件を作者であるカポーティが事件の詳細を徹底的に取材し膨大なデータを蓄積。そのデータを元に事件の再構成をしたもので、作者は「ノンフィクション・ノヴェル」と呼んでいる。
とにかく、圧倒的な情報量で文庫本600ページを超えるボリュームながら終始物語に引き込まれる小説でした。
ノンフィクションではなく、あくまで小説形式だったので個人的には凄く読みやすかったです。
やはり物語性があるものが好きです。
1959年11月16日、カンザス州のある村で、農場主のクラッター家4人が惨殺される事件が発生する。
被害者一家は勤勉で誠実で周囲とのトラブルなどは一切なく、強盗にしては金品の盗まれた額もあまりにも少ないので、犯人像がなかなかつかめないでいた。
しかし、犯人を特定する情報がもたらされいっきに犯人への糸口をつかむ。
そして、ついに2名の容疑者ペリーとディックを逮捕する。
逮捕された容疑者2名はじょじょに事件のいきさつを語りだすのだった・・・・・
って内容なんですが、ストーリーだけ見るとそんなに特別なものはないんですが、とにかく情報量が多いのです。
容疑者2名の人生や、人間性などかなり詳細に書き込まれています。
しかも、物語として描かれているので凄く読みやすくて面白い。
カポーティ自身は容疑者の1人ペリーにかなり感情を移入していたようで、自分と似た環境で育ったペリーに対して特別な感情があったようです。
しかし、作品の内容は犯人側にも被害者側にも立たず、あくまで事件の詳細を淡々と物語っているような内容でそこがとてもおもしろかった。
発生の当初からこの事件に興味を持っていたカポーティでしたが、2人の死刑執行が行われないと作品が完結しないと悩んでいたよう。
犯人に同情しながらも、早く死刑執行されてほしい、という矛盾した感情に長い間悩まされていたようですね。
実際に起こった事件を題材にしながらも、やはりカポーティの小説らしい感じがとてもして凄く面白かったです。
気になった方はぜひ読んでみてください。
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