「青い花」ノヴァーリス
★★★★★
未完の名作といのがこの世には数々あります。
夏目漱石の「明暗」や、フランツ・カフカの「城」などがそうです。
そして、ノヴァーリスの「青い花」も間違いなくそうでしょう。
(ノヴァーリス先生)
青い花はドイツ・ロマン主義を代表する傑作小説です。
夢の中で見た青い花に強烈な魅力を感じた主人公ハインリヒが、その花を探して旅をし、その道中で詩人としての才能に目覚め、成長していくという物語。
青というのはどこか、不思議な魅力があります。
人間は永遠に青を求めている気がします。
メーテルリンクの青い鳥も憧れのとしての「青」。
20世紀の芸術運動でカンデジンスキーなどの青騎士。
ピカソの青の時代。
高村光太郎の「智恵子抄」では、智恵子が
東京には青い空がない。
と言っていました。
そして、なによりも青春という言葉があります。
我々は常に青を求めているし、青に幻想を抱いているのです。
そんな青を求めるこの小説を読むと、幻のような夢の世界や神話の世界と、現実の世界が交わっていくような不思議な感覚が味わえます。
主人公が旅の道中で出会う人々はどこか不思議で、主人公を導いてくれる人々ばかり、そして、みんなが夢や神話の話をしてくれます。
第一部の第三章では美しい王女と、美しい心を持った青年と恋に落ちる御伽噺のような美しい物語を語っています。
この物語だけでもとても美しくて、とってもロマンチック。
ロマン主義って言葉がしっくりくるのです。
澄んだ夜空の夕べの情景描写の中で、月のことを書いた一文があうるが、これが巣晴らしくロマンチックな視点で書かれている。
月がおだやかな光をはなって丘の上空にかかり、生きとし生けるものの心に奇妙な夢を思い描かせた。まるで自分も太陽のみる夢のように、この沈み込んだ夢の世界を見下ろし、無数の境界に分かれた自然を、あのおとぎ話の太古の時代へつれもどしたのだ。そこではどの萌芽もまだまどろみ、きびしくそっとちぢこまったまま、どんなふうにか分からぬがいずれ自分が開花した実を結ぶことを、ひたすら望んでいるあの太古の時代へ。
ロマンチックなシーンやセリフはたくさんありますが、やはりハインリヒが青い花の面影をもった少女に愛の告白をする辺りはもう胸キュンの連続でした。
永遠の星、無言の漂泊者よ、どうかわが新生な誓いの証人になっておくれ。マティルダのために僕は生きることを誓う。永遠のまことが、わが心とあの人の心を結ぶのだ。そしたら永遠の日が明けそめ、夜は終わりとなる。けっして燃えつきない犠牲となって、この身に火をともし、昇りくる太陽に捧げよう。
そして、詩の先生であるクリングゾールはハインリヒに自然とひとの心情との関係は、物体と光の関係に似ている。と言いこう説明する。
物体は光をさえぎり、光を屈折させて固有の色彩を呈する。物体がその内部や表面に光を点じるとき、光が物体の明るさと等しくなると、物体は明るくなり、透明になる。光が物体の明るさより強くなると、光はその物体から放射して、他の物体を照らす。
なんとも、素敵な例えではありませんか。
とにかく、この小説には美しい文章がてんこもり含まれています。
ロマンチックで美しい文章を読みたい方はまず間違いないです。
それだかではなく、思想や哲学としてもかなり優れたことが書かれています。
自然との共栄や幻との付き合い方など、これからもっと大切になるだろうと思われる人類の道しるべのような印象もうけました。
未完に終わったのが本当に残念な小説ですが、とてもいい本なので全ての人にオススメしたい1冊です。
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