以前読んだ「結婚しよう」もなんとなくにた感じの内容だったような気がする。
この「メイプル夫妻の物語」はメイプル夫妻の結婚生活に少しづつ生じる亀裂を夫であるリチャードの心理描写を中心に描かれている。
様々な場所で発表されたメイプル夫妻の短編を1冊にまとめたのがこの本で、短編の集まりが結果的には長編小説になっている感じ。
メイプル夫妻の新婚時代から始まり、20年かけて四人の子供を儲け、最終的には離婚する。
家庭が崩壊する物語なのに、主人公で夫のリチャードと妻のジョウンは最後まで不思議な信頼関係というか、絆で結ばれている感じがして、あまり悲惨な感じはなく、最後までさわやかな印象さえ受けた。これは「結婚しよう」でも感じたことなのだけれど、夫婦とうい形式にはもしかしたら向いていなかった二人だけど、人間同士の付き合いにおいては特に問題なかったのかもしれない。
これは、結婚生活というやつがいかに困難であるか、ということが伝わってくる。
お互い全然嫌いじゃないし、むしろ人間的には好きなのに別れる夫婦って存在するもんです。はたから見たら「別れなくてもいいのでは?」って思えるカップルが別れたりする場合ってあるよね。
この小説はとにかく心理描写のみで構成されているので、おもしろいストーリーを期待するとちょっとガッカリするかもしれない、でも、アップダイクの心理描写はとにかく知的で、文章も美しい。個人的にはこのような美しい文章の小説は大好きだ。
知的なことを考えてるのに、主人公のリチャードはいつまでたっても子供っぽさが残っていて、ある意味では無垢な存在として描かれている。アップダイクの小説に登場する男って、基本的に子供っぽい印象を受けるの。きっと、本人がそうゆう人なんじゃないだろうか。
この本に収録されている短編の中でも特に良かったのが「妻を誘う」というリチャードの一人称で描かれたもの。妻の太股を見てジェイムズ・ジョイズの「ユリシーズ」から<うましき温もり>という言葉を思い出すシーンなんかはとってもロマンチックで好きなシーン。そして、自分の妻を誘惑するには、無知な女の子を誘うより、十倍もの努力がいると嘆くのである。
結婚した男女の心の動きを長い時間をかけてじっくり描きあげたよい小説でした。
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Plastic-Mix 20140328
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