- 綾野 まさる
- 帰ってきたジロー―柴犬・730日愛と勇気の旅
- 内容(「BOOK」データベースより)
これは、ジローをめぐる武内さん一家の愛のドラマと、さすらいの旅をつづけたジローの勇気をドキュメンタリー風につづった童話です。 - 綾野 まさる, 日高 康志
- 帰ってきたジローもうひとつの旅―みんなに愛された奇跡の柴犬 (ドキュメンタル童話・犬シリーズ)
- 内容(「BOOK」データベースより)
主人の家を求めて70キロ、730日の孤独な旅の末、わが家にたどり着いた「奇跡の旅」から17年、今度は「生涯の旅」を終えるまでの感動の日々。小学校中学年以上向き。
2冊続けて読みました。
猫が一番好きですが、犬も大好きなので、こう言う動物モノにはとっても弱いです。
一匹の犬や猫が、幸せな人生を送り、幸せな最期を迎えると、それだけで心が温かくなり、幸せな気持ちになります。
それが、ジローのように困難を乗り越えた一生であれば、尚更。
転勤や新居購入、色々な事情でお引越はあるわけですが、何より困るのは、一緒に暮らしているペット。
ペット可の物件が増えてきた(マンションだってペット可のところが沢山あります)近年では、ペットも一緒にお引越と言うのが当たり前ですが、引越しシーズンになれば公園に捨て犬・捨て猫、はたまた捨て兎、捨てネズミが増えるのは今も、実はそんなに変わらない現実。
ジローのように、断腸の思いで実家に預けられ、そこで生活できる子は、とっても幸せなんです。
引越先がペット不可だから、もう大きくなってしまったから、世話が大変だから、飽きたから……、様々な理由をつけて、動物は捨てられ、保健所に送られ、人間を信用しきった生涯を、3分の1くらいに短縮して終えてしまいます。
早くに親から引き離され、頼りない、あどけない可愛さに釣られて買われ、愛玩具として適当に遊ばれて、野生なんてとうに忘れてしまった動物たちが、突然自分で餌を見つけなければならない、猛烈なスピードで迫ってくる巨大な車から逃れなければならない、バイキンがゴミのように扱われ、ともすれば、全くいわれのない虐待を受けなければならないような状況に追い込まれ、一体、どれだけ生きていられるでしょう。
ジローは2年、頑張りました。
実家の、友達もいる、ちゃんと食事ももらえる居場所を与えられたけれど、食べることだけじゃなく、友達や、安心して眠れる場所だけじゃなく、「家族」とは、どうしても離れていられなかったのです。
石を投げられ、追い払われ、野犬と喧嘩をして、稀に優しい人に助けられて。
人間からすれば、70キロなんて大した距離じゃないかも知れないけれど、小さな存在には、とてつもなく遠く果てない道のりだった。
何と730日をジローは生き抜き、耐え抜いて、家族と再会します。
ところが、再会を喜んでいられないのも悲しい現実。
新しい家であるマンションでは、犬を飼育することが出来ません。
再会を喜んだのも束の間、ジローには住む家がないのです。
一つの例外を許せば、必ず不平不満が出てくるものです。
動物なんて大嫌い、気持ち悪い、恐いと言う人だって、それは沢山いるのですから、どんなにジローが頑張って家族の元に戻っても、そうそう簡単には変えられない決まりです。
さて、ジローはどうなってしまうんでしょう。
折角2年も頑張って、家族に会えたのに、また別れることになってしまうんでしょうか?
と、その続きは読んでからのお楽しみ、と言うことにして。
犬や猫が、「家族」なんて思うはずがないと思いますか?
とんでもない。
犬は飼い主に忠実ですよね。
猫は気まぐれだからそんなことはない?
いえいえ、とんでもないです。
私はもう、20年近く猫と一緒に暮らしていますが、猫もなかなか忠実な生物ですよ。
親戚の事情で、1週間ほど、犬と猫の世話を頼まれたことがありました。
猫は遊びに出掛けたまま、呼んでも帰ってきません。
缶詰やドライフードは減っているから、帰ってきているのは確かなんだけど……。
1匹は老猫で、もう老衰が近い感じ。
きっと、飼い主を待って旅立つんだろうな、と言う感じ。
いよいよ具合が悪くなり、親戚に連絡をして急いで帰って貰ったら、私が呼んでも呼んでも姿を見せなかった猫が、たったの一声で帰宅しました。
老猫の方は、飼い主に甘えて甘えて、それから1週間くらい、殆どつかず離れずで眠ったまま旅立ちました。
一度「家族」になってしまえば、彼らはずっとずっと、飼い主を待ってるんですね。
仕事や遊びや旅行に出掛けた飼い主を。
もう一度、名前を呼んでくれることを願って。
もう一度、優しい手で撫でられることを願って。