リズム | プラネタ旅日記

プラネタ旅日記

児童書専門古本店プラネタ(無店舗)の管理人が細々~となにやら呟いております。大半は読書記録。時々頭の悪さと猫馬鹿具合を炸裂させてます。

森 絵都
リズム
内容(「BOOK」データベースより)
ガソリンスタンドで働きながらロックバンドで歌をうたう、いとこの真ちゃん。そんなハデな真ちゃんに、まゆをひそめる人もいるけれど…。小さいころから大すきだった真ちゃんの家族が、ばらばらになってしまうかもしれないと知った、さゆきは…。第31回講談社児童文学新人賞。

森絵都さんの作品はいくつか読みましたが、これは未読でした。どの作品も読みやすくて、抵抗なく読むことが出来ます。

この「リズム」も、すんなり読めました。

何だか、昨日の「15歳-あたしたち、最高の女の子」とは対照的な作品ですね。(若干、年齢に差はありますが)

どちらも、「今この瞬間は永遠に続かない」と言うところは同じですが。


小さな頃から仲良しだった従兄の真ちゃん。

真ちゃんは高校へ行かず、働きながらロックバンドで歌を歌っている。

「ワルがき」から「不良」に、周囲の評価が変わってしまった。

そして、「第二の我が家」と呼んでいた真ちゃんの家が、ばらばらになるかも知れない。


お姉ちゃんもお母さんも眉をひそめる。

だけど、真ちゃんが好きなことだけは、絶対に変わらない。


……なんてところだけをピックアップすると、普通に恋愛小説のようですが、もう一人の幼馴染、泣き虫のテツの存在と、真ちゃんを否定するお姉さんの存在がスパイスになって、純粋で切ないティーン向けの小説に仕上がっています。


変わってしまうものがある。

だけど、変わらないものもある。


「ここから見える景色は、変わらなければいいな。十年後も、百年後も、このままずうっと」

「うん、千年後もね」


二人が見た景色は、変わってしまうでしょう。

もしかしたら、数年後に。百年後には全く違う景色になっているでしょう。

だけど、二人で見た事実は変わらないし、そのときの思いも、決して変わらない。


真ちゃんは新宿へ行き、テツは強くなる努力を始めた。

さゆきは、心の中でリズムをとり始めた……。


変わり始めた、さゆきを取り巻く世界。変わっていく人。変わっていく自分。そして何か変わらないもの。

さゆきがこれから、どんな風にその変化を受け容れていくのか、とても興味があります。

……と思ったら、ちゃんと続編が出ていまして。

「ゴールド・フィッシュ」と言うそうです。

さゆきが、お姉ちゃんと同じ年になり、受験を迎えます。

まだ、自分の将来なんて想像もつかないのに……。

大人になる過程の、何分の何かの時期。

面白そうです。



森 絵都
ゴールド・フィッシュ
内容(「BOOK」データベースより)
新宿へいってしまった真ちゃん、いつのまにか大人びてきたテツ、そして、高校受験をひかえ、ゆれるさゆき。三人の〈リズム〉のゆくえは―。好評『リズム』の続編。