マンゴーのいた場所 | プラネタ旅日記

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児童書専門古本店プラネタ(無店舗)の管理人が細々~となにやら呟いております。大半は読書記録。時々頭の悪さと猫馬鹿具合を炸裂させてます。

ウェンディ マス, Wendy Mass, 金原 瑞人
マンゴーのいた場所

内容(「BOOK」データベースより)
マンゴーはあたしのネコ。マンゴーって名前は、みんな、目がオレンジ色だからだと思っているけど、そうじゃない。ごろごろとのどを鳴らす音、ミャーォという鳴き声、それに、マンゴーのいた場所や、歩いたあとなんかが季節ごとに色がちがうマンゴーの色そっくりだったから―。共感覚とは、音をきくと色が見えるというように、五感のうちの二つ以上の感覚が同時に働いて起こる知覚現象のこと。共感覚を持った少女と、猫のマンゴーが過ごしたはかなくも、色鮮やかな12ヶ月。「共感覚」「ペットロス」をテーマにした感動の一冊。



「共感覚」と聞いて、すぐにその状態がイメージできる人が、何人いるでしょうか?

以前にもちらっとそんな本を読んだことがあるような気がしますが、「共感覚」と言う名称はすっかり忘れていました。

イメージとして、音や音楽を聴くと思い浮かぶ色や、言葉や数字の響きから思い浮かべる色と言うのはあります。何かの音を聞いて、これは「0」って数字が並んでるみたいだなと思うことや、数字にそれぞれ性格があって、自分の好きな数字や、嫌いな数字があると思うことも、たまにあります。でも、それが日常的だと、かなりしんどい気がします。

生活の中に溢れた音に、色も溢れる。

パタンと扉を閉める音、ぱたぱたと歩く音、ノックする音、時計の音、風の音、雨粒の一つ一つ。それらに全て色があったら。

それはもう、目まぐるしく忙しいことでしょう。

どんな感覚なのか、完璧に理解することは難しく、ミアがどんな中で暮らしているのか、想像することが出来ません。

きっと、キィボードを打つ音の一つ一つにも音があるんだろうなぁ。

それが、「普通」ではないと知り、三年生の頃から隠してきたミア。

「アッタマオカシーンジャナイノ」なんて言われたら、口をつぐんでしまっても頷けます。もっと早くにそれが「共感覚」だと分かっていれば、もっと対処のしようがあったのに……。


生まれて初めて自分と同じ感覚を持った人との出会いは、ミアにとって、感動的だったことでしょう。

誰も自分を変だとかおかしいと笑ったりしません、否定もしません。

突然開かれた世界に夢中になっていくミアと、ミアを取り巻く周囲の人々。そして、マンゴー。

「共感覚」「ペットロス」「友情」「家族」、色んなテーマが詰まっていて、なかなか興味深く、楽しく読めました。