所見! | Plan B -腎がん罹患後の記録-

Plan B -腎がん罹患後の記録-

発覚から手術までの体験とその後の人生再設計を記録していきます。

・初回ということなので、本日の診察は以前の病院で撮ったCT画像に基づく所見が目的。腫瘍の大きさ(2cm弱)はほぼ確定しているので、転移がないと判断されれば暫定的にT1aのステージⅠとなる。

 

・一方、仮にリンパ節に転移しているとなると、ステージは一気にⅢに上がる。さらに、リンパ節に転移があった場合は郭清しようがしまいがほぼ全ての症例で遠隔転移に至っているのため(出所:NCCNガイドライン)、遅かれ早かれステージⅣとなる。

 

・ここで心配されるのは当初の画像診断で、初回のCTでは「複数」のリンパ節が膨張とされている。そう、二つ以上のリンパ節に転移だとこの時点でステージⅣになってしまうのだ(http://www.jinzougan.jp/diagnose/staging.html)。

 

・実はこの時はまだ腎がんのステージ表の読み方がいまいちわかっておらず、「腫瘍の大きさに依らず、リンパ節に転移があればステージⅢ」と理解したのは診察日当日だった。流石にそうじゃないかなあと思いつつも、どこかでその可能性を否定したくて消化し切れていなかったのだ。

 

・とはいえ、転移の確率がどの程度なのかは気になって仕方ないので、小径癌におけるリンパ節転移の確率については四六時中ネットで検索し続けていた。結局、日本語で無料で閲覧できるのは京都大学のデータベースにある古い文献くらいで、2000年以降のレポートは海外の事例がメインとなった。

 

・参考までに、ざっくりとした結論を書くと「2cm以下の腫瘍でもリンパ節を含む転移をきたす事例はゼロではなく、その可能性は多めに見積もって5%くらい」というのが、複数の日本並びに海外の事例を読んだ”印象”である(あくまで私個人の印象ですので保証は致しません)。

 

・腎臓癌になる以前であれば「なんだ、たったの5%じゃん」と思えただろうが、そもそも男性で腎癌になる確率は0.01%以下。30代での罹患率ともなれば恐らくその更に10分の1以下だろう。それに比べれば5%というのは途方もなく高い数字であり、当時も今も全く安心できる数字ではないのだ。

 

・そんなこんなで、癌専門病院の医師がどのようなインプレッションを持つかは、非常に重要な意味を持っていた。前日はもとより一週間前からまともに睡眠をとれていない。精神状態は不安定そのもので、血圧は平常時より高止まりしている。診察前は緊張のマックスで、ただ最悪なシナリオを想定しながら黙って座って待っているしかなかった。

 

・いよいよ手元のPHSがブルブルと振動し、診察室に入るようメッセージが表示される。何から質問しようかと考えながら挨拶もそこそこに席に着くと、開口一番「うーん、腫瘍は腎臓癌だとは思うけど、転移はしていないと思うなあ」と早速核心に入った。

 

・まとめると、

- やはり腎臓癌で間違いなさそう。ただしCTのみではどうしても10%くらいは良性の可能性が残るのこれは了承してもらうほかない。

 

-手術は小切開による部分切除。若いので全摘でも腎機能に問題ないが、逆に残せるのなら残しておくべき。ただし腫瘍の位置や術後の容態によっては全摘の可能性はゼロではない。

 

-リンパ節の膨張は確かに認められる。が、この腫瘍サイズで転移するケースは稀。数%もない。転移しているとは思えないが、これは再検査を踏まえて判断。

 

-現時点では、T1aN0M0。手術したら終わり。

 

・主治医の話を聞いて、どっと緊張が解けた。残念ながらリンパ節転移の疑いは晴れてはいないが、「極めて稀」と太鼓判を押してもらっただけでも安心感がぐっと増した。なにより、終始なんでもないようなトーンで説明するので、深刻に捉えていた自分がバカらしく感じるくらいであった。

 

・これは結構大事なことで、医者が深刻だと患者はその倍以上暗くなる。もちろん病状によってそうならざるを得ない時はあるだろうが、リスク回避のために曖昧な解答でやたらと判断を先送りするのは、無駄に患者の不安を募らせるだけだと思う。その意味で、先生のとぼけたような(ごめんなさい!)キャラは、自分にとっては大正解だった。

 

・想定していたシナリオの中では最上の結果を得て、不覚にも癌が治ってしまったような感覚に陥ってまった。残念ながら、この感覚はさほど長続きはせず翌日からまた不安に苛まれることになるのだが、この日の夜だけは熟睡できたように思う。