テレビも大型化に従って水平出力管も強化され、日本では12DQ6や21JS6や30KD6を経て、多分、松下の40KG6Aが最大到達点です。いずれも600mA管ですからカソードを加熱する電力は頭の数字(ヒーター電圧)に比例して大きく、これらの6.3Vヒーター管の6DQ6B(50W用)、6JS6C(100W用)、6KD6(200W用)を八重洲が主に採用しましたが、他にも6DQ5、12B-B14、6JM6も単発的に動員しています。
最大である40KG6Aはテレビ受像機がソリッドステート化される間際、つまり真空管式は全てトランスレス化されていた時代に登場したので、6.3V管の6GK6は海外だけで日本製はないと思います。また、外国製の6JS6や6KD6が八重洲機には使えないのと同様、どこの国の6GK6/40KG6も松下の40KG6Aとは互換性の保証はありません。むしろ別物です。
さて、松下が6146/6146Bの安価な代替品としてトリオ向けにS2001を製造したのに引き続き、ハム用にS2002(コンパクトロン管)とS2003(オクタルベース)も上市しました。これらは電極構造は40KG6Aそのものの流用で、ヒーターを6.3Vにしたものです。ならば、S2002は松下が作らなかったはずの6GK6そのものではないかと? いや、40KG6Aはマグノーバル管ですからソケットが違います。
S2002は松下RJX-1011という当時は国産最高価格(43万円)のトランシーバーが唯一の採用で他に使用例はない(S2003も)、と一般に言われていますが、小さなメーカーがリニアアンプに使った例があったはずです。いずれにせよ構造的にはテレビ球そのものという事実から推測できるのは、当初から市場の狙いはハム専用で、耐久性を問われる産業用途は想定になかったのでしょう、S2001ならプロの使用例も見たことがありますが、あちらは6146という真正の送信管が原型ですから基本構造からして違います。
水平出力管が比較的低い電圧でも大電流が可能なのはカソードの電子放出能力にあり、そこを最も節約した電池管とは全く逆の設計です。従って開発のポイントも、また残された弱点もカソードに皺寄せされていて、酷使された水平出力管では陰極物質が剥落して管内に落ちている事があります。カソード温度が不均一だと電流のスポット集中により一段と傷みやすくなるので、ヒーター電圧の不足は禁物です。