ホイールバランサー(四輪用)のこと。 | 自動車整備機器・リフトのお店をやっている店長日記

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ホイールパランサーが正確にバランスを測定できる環境と、

歴史についてちょっとお話ししたいと思います。

ホイールバランサーをご使用の方や、購入を検討しているお客様に

多少なりともご参考なれば幸いです。、

 

 

 

 

■このバランサーは安いけど、ちゃんと測れますか ?

  値段が高い方がやはり信頼できますか ?

 

ご購入を検討されるお客様から、このような質問をよく受けます。

※お聞きになりたいお気持ちはよ~く分かります。

もし買う立場だとしたら、間違いなく自分も同じことを聞くと思います。

 

経験からお話しますと、、、

バランサーの製造国や価格に関係なく、一般の自動車整備場や

ガソリンスタンド、タクシー会社などは、問題なく使えると思います。

これはタイヤとホイルの総重量が45kg前後の乗用車を測定することが

多く、正確に測定できると言っても過言ではありません。

 

 

それは、ほとんどのメーカーは、完成テストで50kg前後のホイールにて

アンバランス数値が少ないホイルで完成検査を行います。

そして、出荷前に行うキャリブレーション(補正作業)を行った上で、

OKであれば出荷し、問題が出た機体は出荷からハネられます。

 

 

しかし、もし19インチ以上の大径ホイルやワイドホイール、そして60Kg前後の

重いホイル(タイヤ)を測る必要があるのであれば、それに見合ったバランサーを

選択する必要があります。

 

これは製造メーカーが、カスタマーであるタイヤ専門店やカーシヨップ、

自動車整備工場やガソリンスタンド、そしてタクシー会社などに分けて

製品作りをしているからです。

 

特にアジア製の安いモデル(10万円前後)は、以前イタリアで販売された安い

モデルのコピー品が多く、コンピューター基板(マイクロプロフェッサー)の

パラメータも古く、大径ホイールやワイドホイルなどの測定値は当然甘くなります。

 

また、大径ホイルやワイドホイール、そして総重量が60Kg前後のホイールの測定で、

アンバランスが大きい状態は、バランサーシャフトにシナリが生じたり

本体が歪んだりとで、アンバランスの数値が増えてしまいます。

 

もし、このような大きな負荷が常にかかる状態で使用し続けると、圧電素子等の誤作動や

駆動ベルトの異常摩耗、モーターコンデンサーの劣化 (単相電源機) による

電源基盤の不具合(最終的にはパンク)が発生することもあり、故障の原因となります。

 

そこで大切なことは、お客様のビジネスで日頃交換するタイヤ(ホイール)が、

どのようなジャンルなのかを見極め、それを購入する販売店に相談することが大切です。

 

 

       

■狂う原因を考察 (脱着ミスと装着ミス)

 

▲固定は必要

バランスが取れない理由の要因としてバランサー本体が床(土間)対して、

水平垂直な状態で設置されていない事もあります。

また、アンカーボルトで、しっかり床(土間)に固定されなくアンバランスが

発生することもあります。

 

 

▲柔らかい置き場所は不可

本体が揺れれば正確な数値は得られません。

 

▲湿度は敵。

とくに日本で気を付けなければならないことがあります。

湿度が多い日本では、コンピューター基板の表面に結露が発生しやすく、

それによりアンバランスの数値が発生しやすくなります。

解決方法の一つとして、ホイールバランサーを極力湿度が低い場所

(入口やトイレ、洗面所等から離れた場所) に設置することや

雨が降る日や夜分は、極力ホイールバランサーを使わない等が

あります。

 

▲ホイールの取り付けは数値に現れる。

作業上の注意としては、ホイールを固定する際、センターコーンとホイール

の当たり面が均一均等に捕らえなくてはいけません。

※取り付けた後は、手回して真円が出ているか確認しましょう。

 

※アルミホイールを測る際は、バックコーンでのセット固定も有効です。

 

※タイヤ交換が連続し慌ただしい環境では、エアーロックをお勧めします。

 

 

さらにホイールにタイヤを組む際、均一にビードが出ていないことも測定値に

不具合が発生する原因となります。

( タイヤの軽点とホイールのバルブ位置を合わせる以上にアンバランスが発生することも)

 

より高い精度を求めたい場合は、センターロックではなくフランジコーンでの

測定をお勧めします。

 

 

最近アジア製のタイヤが多く出回っておりますが、その中にはビードの整形が

不完全な物や、製造時に内部に隙間が生じ、あまりバランス取れてない製品もあります。

このような場合は、ホイールとタイヤのウエイト位置が極力相殺されるようセットする必要があります。

 

▲電源は供給は安定してますか。

これもよく聞かれるのですが、100V仕様と200V仕様 (単相・三相 の

どちらが良いと思いますか? やはり200V仕様の方が良いですか?

 

30年ほどから前のバランサーは、アナログ演算方式により、ほとんどが測定時にも

モーターを回転させていました。その為モーターの回転ムラが測定値にも影響を与え

誤差の原因になっていました。

 

しかし、それ以降の製品の多くはマイクロフロフェッサーによる高精度の演算となり、

モーターで絶えず測定時に高回転を維持しなくても、モーターはあくまで一定のテストスピードまで

回転を上昇させるだけに使い、実際の測定は惰性時に測定します。

 

これには、多くの利点があります。 一つは、モーターの回転ムラから解放されること。

二つ目は、モーターが発するノイズによる測定精度の不安定から守ることができます。

三つ目は、大きいモーターを搭載しなくてもよく、小型化や軽量化そしてコストダウンが

可能となります。

実際モーターは不要で、手回し(ハンドスピン)でも高い精度を発揮します。

 

以上のことから、100V仕様、200V仕様、12V仕様(ハンドスピン)に関係なく、現在の

ホイールバランサーは、高い精度を発揮します。

 

▲しかし、電圧降下は見過ごせません。

延長コードやコードリールを使えば供給は電圧は下がり、安定した精度を

発揮出来ません。

また、長いコードがノイズを取り込みやすくなってしまいます。

さらに、回転する際の負荷が大きくなり、コンデンサーを使用しているモーターは、

焼付く原因を誘発させます。

 

 

■キャリブレーション(校正)の頻度はいつ ?

結果から言うと半年に一回定期的に行い、もしホイールを取り付ける際、一回でもゴンと音が

するくらいシャフトへホイール落とすと測定値は変わる(軸の歪み)ので、、使用頻度が多かったり

シャフトに負荷を掛けたら、キャリブレーション(校正)をしていただきたいのです。

 

■測定モードを生かす。

ここ30年ほど前から販売されるホイールバランサーには、ダイナミック標準測定モード(スチールホイール等)

の他に、アルミモードが設定されました。 (モーターサイクル専用モードがある物もあり)

このアルミモードは、ウエイトを取り付ける(貼る)位置を、大まかに設定できる裏取りと言われるモードですが、

最近は、そのアルミモード以外に、ホイール断面の形状が複雑な場合でも、取り付ける(貼る)位置を任意で

(オフセット側) 決められるホイールバランサーも増えてきました。

 

 

■高度なバランス取りを提供するロードフォースバランサー

一般的に、ホイールとタイヤのセットで、完璧な真円は不可能なため、当然振れる場所で高い点と低い点があります。

これは、車体の重量が加わり回転し走行すれば、遠心力とタイヤからの発熱等でバランスの位置は変わります。

従来のバランサーではバランスを取った場合、このアセンブリはバランスを取るため、発生して振動もアンバランスとして

測定値に現してしまう可能性があります。

解決策は、タイヤを回転させながら高いスポットと低いスポットと一致するまでホイールとタイヤを動かします。

このプロセスは、、従来のバランス測定に加えて、道路に振動を引き起こす傾向がある状態があるかどうかを判断します。

このバランサーは、タイヤがゆっくり回転するときに大きなローラーをタイヤに押し付けて、完全な真円度が出ているかの

ズレを読み取ります。

これにより、ビードとホイルのマッチング状態を検出し、取り付けの問題を確認することができます。

 

そこで、高価ですがイタリアのメーカーからロードフォースバランサーが誕生しました。

これにより偏心状態を修正し、より振動の少ない走行が可能となりました。

 

 

 

■ホイールバランサーの歴史

 

ご存じのとおり、車両の性能が上がるつれタイヤ(ホイール)の回転も上がり、回転のアンバランス

が発生しやすくなりました。

 

そこで、車両に装着させる前に模擬回転させ、走行状態を再現させられる装置が開発された訳です。

 

タイヤの巾が狭い時は、タイヤの振れと静的アンバランスを修正するだけで解決しました。

 

しかし、タイヤが太くなるに従い、振れと静的だけでは解決しない振動が発生し始めました。

これはタイヤを固定する車のハブが、片持ち(ホイールの片側だけで固定) のためで、

発生する振動は、車体とタイヤ(ホイール)を繋ぐトレーディングアームとドライブシャフトにより

何倍にも増幅され車体に伝わります。

 

 

 

そこでホイールバランサーは、静的 (スタチック)測定機能に、動的 (ダイナミック)測定機能も

追加し、そのピックアップデータを電子的演算し処理したうえで、データを二つのアナログメーター

(一つはウエイト量、もう一つはウエイトを貼る位置)で表示しました。

 

それをさらに、アナログメーターはデジタルメーターに、電子演算装置(トランジスタ)は

マイクロプロフェッサー( IC)へと進化させていくのです。

 

 

■編集後記

ホイールバランサーは、ロードフォースバランサー(下記項目参照))など一部を除き、多くの機種が同じ部品で

構成されています。

では性能の違いはナニかですが、それはシャフトのバランス(精度)とシャフトとボディーの剛性です。

もちろんピッアップセンサー(圧電素子)やエンコーダー、メインボードなど計測に関する精度も大切ですが、

重いホイールを回転させる分けですから、シャフトやボディーが歪んだら意味がありません。

 

よってバランサーを選ぶ基準は、日頃測るホイールのカテゴリー(大きさや重さ)がどのような物なのかで変わります。

 

また、ホイールバランサーの性能や測定値(20g以内のアンバランス)に過度の期待をするのは、

あまり意味がありません。

前項でも申し上げましたが、ホイールのバランスが崩れる理由は、ウエイトの貼り付けだけで解決しないケースが

多くあります。

 

車の仕様や使用環境など、複合した状況からアンバランスは発生していると考えた方が、解決する近道かも

しれません。

 

PS: 意地悪な話しですが、ホイールバランサーをお持ちの方は、下記の作業をなさるとバランス取りの

   必要精度を認識できるハズです。

  

     まず、お持ちのホイールバランサーでアンバランスが無くなるよう(極力 0gになるよう)バランスを取ります。

   そのバランスが取れたホイールを、一端バランサーから脱着し、再度バランサーに装着して測定して ください。

   その結果、ほとんどの場合は 0g になりません。理由は前項に書きました要因と思われます。

 

 

● 豊富な納入実績と在庫で、お客様に少しでもご満足いただけますよう

  努めてまいります。

 

 

 

※弊社では北海道から沖縄まで、日本全国へ納品設置及び

 サポートを行っております。

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