[七曲り荘日記]
●巻頭連載[第118回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」
「絵本」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文
最近は、童話なのか絵本なのかわからないものを書いてます。
言葉にするって、褐色シリーズの時に脳内で勝手なストーリーやイメージを、一枚の絵に詰め込んだ物を崩していく感覚に近いかも? と最近思いはじめました。
例えばバンビの絵なら、心地の良い風が吹き、甘い花の香りが包む草原のなかで、褐色のエリーとバンビが仲良く遊んでます。
ざくろの実は熟していて、遠くから小川のせせらぎも聞こえてきます。
みたいな感じで(笑)。
[今週のブライアンのお勧め寺社仏閣/山の寺 洞雲寺]
日本三大山寺(滋賀の石山寺、山形の立石寺、宮城の洞雲寺)このなかの洞雲寺が近所にあります。
子供の頃から、歴史好きな父と、頻繁に訪れた場所です。
昭和18年に「軽便っこ」の飛び火が原因で、国宝に指定される直前だった「二天門」を始め、寺のほとんどの建物などが燃えてしまった、失われし文化財「山の寺洞雲寺」を紹介します。
https://www.city.sendai.jp/izumi-kuse/izumiku/shokai/profile/shashinkan/dai2kai/index.html
と、言う事で残念ながら今はもうないのですが、その場の気というか磁場というか最高の場所です。
上は当時の写真だけど、まさに幽玄って言葉がぴったりだと思いませんか?
2月20日(火)鬼子母神は晴れのち雨。
午前10時に池袋の生活福祉課へ。
初めて会う(注1)私の担当者と、今回の件について話す。
新しい部屋は、そちらで探してくれと言われ、5分で相談終了。
(生活保護受給者を受け入れてくれる安アパートまでは把握していないそうな。まあ、担当は、ほぼ1年半くらいで変わるからね)
と、いうことで、部屋へいったん戻る。
(注1)数か月置きに3度部屋へ来てくれたのだが、おそらくイヤホンをしている私の耳に戸を叩く音が聞こえなかったのであろう、その度ポストに入っていた通知で知ったのであった。
午後3時、3週間ぶりにテストステロン注射を受けに、また池袋のクリニックへ。
池袋まで歩きながら、からだの重さに驚く。
そういえば2日前から、気分の落ち込みと共に、それを感じていた。
やはり、私の場合、1回のテストステロン注射の効果は20日ほどなのか。
注射が待ち遠しい気分で、からだを引きずるようにして歩いた。
なんとしかし、テストステロンが切れていると受付嬢から通告される。
あちゃあ、今日に限って、予め薬があるかどうかの電話をしていなかった。
しようがない、踵を返す。
男性ホルモンであるテストステロンは全国的に品不足で、いつ入荷されるか不明とのこと。
松っちゃん、君が射ち過ぎじゃないか?
[夕食]
●ヤリイカ(ワタごと)の大蒜バター焼きバジル・ソース
●昨夜の残りの海老の味噌汁(豆腐、ネギ、生ワカメ)
●海苔
●カブとナスの糠漬け
●ごはん
●みかん
だいぶ久しぶりに、烏賊のバター焼きをした。
ほら、2年前に、205号室が発する「イカ大根(ワタ入り)」を炊いた臭いを嗅いでから、烏賊ワタを味わうことに躊躇があったのだ。
が、やはり滅法旨い。
バジルじゃなく、ターメリックを使うと地中海風になる。
(檀一雄の料理エッセイから教わった)
バジルの代わりに大葉を使うのもよし。
数少ない私の得意料理だ。
[今週の曽根のお勧め作品No.3/ボブ・マーリー&ザ・ウェラーズ『LIVE 1975』]
●84年、19歳で上京した私は、1万7千円の4畳半を見つけ、大学へも行かず、その部屋に40数日籠った。理由は簡単、東京が怖かったからだ。そこらへんのことは短編「帰りそびれた放蕩息子」にも書いた。で、その春、ラジカセから毎日流していたのが、このライブ・アルバムだった。なぜかボブの歌声だけが19歳の私をなぐさめた。それは今も変わらず、気分の落ち込む今日みたいな昼はボブを聴く。バッファロー戦士の歌声は、出会ったことのない女のように優しい。
(そういや20代の頃、漫画『ボーダー』の主人公蜂須賀に似ているとよく言われたが、蜂須賀もこのアルバム好きに描かれていたな)
ラスタ思想は別として「No Woman, No Cry」の歌詞の情緒は、日本人のガキにもよくわかった。ダチと恋人と、夜通しトレンチタウンのゲットーの庭で焚火を眺め、コーンミルの粥を分けあう。そんな夜を、それから何度か経験した。そういえば私には、クラプトンがカバーしヒットさせた「I Shot The Sheriff」の元歌詞、シェリフがポリスになっているヴァージョンを聴く場面を描いた未発表の原稿がある。いつになったら発表できるのやら。
私にとってボブ・マーリーは、ビートルズやストーンズやボブ・ディランと共に別格の存在で、「無人島に持っていく1枚」の企画に参加すれば、おそらくこのアルバムを上げるだろう。
でも、未だ、ガンジャに酔って聴いたことがないのは、我ながら不思議だ。
2月21日(水)鬼子母神は雨。
やはり目覚めから、ずっしりとからだが重い。
が、ま、それは「糖尿病治療後刺痛神経障害」を発症して以来ずっとだけれども。
しかし、それとは別の疲労感と気分の落ち込みを感じる。
[朝食兼昼食]
●ファミマの焼き芋
●食パン1枚
●三角チーズ2ケ
●茹で卵2つ
●ブラックコーヒー&カフェオレ
●みかん
食べたら元気が出たのか、YouTubeのニュースを眺めているうち、不意にフレーズが頭に浮かんで、詩を書き始めた。
こんな詩だ。
「愛国者」
愛国者は皆、国旗に包まれるべきだ。
愛国者は皆、厳粛に包まれるべきだ。
愛国者は皆、国樹に吊るされるべきだ。
国旗に包まれ、山桜の樹に吊るされ、
愛国者は皆、一斉に燃やされるべきだ。
油蝉の死骸のように。
愛国者の炎が今夜、祖国を厳粛に照らす。
愚かな民衆は、国を憂う炎に酔う。
あなたは炎にまどろみ、故郷の白い山脈を夢見る。
キリマンジャロの豹がそうだったように。
以下に、あと4連つづくのだけど、これ以降は勢いで書き飛ばしたものだから、推敲が必要だ。
まあ、これだけでも完結しているしね。
でも、さすがにテストステロンが枯渇状態にあるからか、これでもだいぶクール・ダウンした表現となっている。
6連を書き飛ばすのに、時間して10分ほど。
上の2連は、推敲がほぼ必要ないと思われ、「決まる」ときとはこんなもんだ。
もちろん、テーマについては、10年も20年もチラチラ考えていたんだろうが。
それにしても、よっぽど怒り心頭だった御様子。
わずかに残った男性ホルモンを絞り切っての御乱心。
コップの中の嵐とは、こんなものか。
3月16日の朗読ライブ用の詩「血管深夜特急」を書くのを、日々ぐずぐずしているのは、単に「答え」が見つからないからだろう。
それにしても、すでに大きく5回は書き直しているし、ここ半年ほどもかけているというのに。
そもそも「血管深夜特急」のアイデアは、30年前の思いつきだ。
やはりテストステロンの枯渇と共に、才能もまた枯渇したか。
こればっかりは注射できないものな。
2月22日(木)鬼子母神は氷雨。
●NMIXXデビュー2周年。
●本妻の誕生日。
●本恋人(30代の「第2の初恋」相手)の誕生日。
彼女らの幸福を、数秒祈り、あとは1日中布団をかぶっていた。
(ほら、エアコンの暖房が壊れているからさ)
[NMIXXつれづれ草]
●NMIXXのメイン・ダンサーである最年少(17歳)のキュジン。上の衣装は、露出の多いキュジン仕様。上の自撮りの表情は、姉たちより、よっぽど色っぽい。が、バック・ステージは年相応だ。が、姉たちへ母親のように指示をし注意する「小言の多い」17歳である。
●現在のKPOP「第4世代」ガールズ・グループと、欧米のユース・ミュージックとの違いは、露骨なセックス、露骨なドラッグ、露骨な暴力――描写がないってことだ。
もちろん、セックスは芸能(特にダンス)の本道であるし、KARAをリアル・タイムで観た私は、KPOPといえば「エロ・ダンス」と早とちりしていた。
が、KPOPファンは女性が多く、特に第4世代の女性ファンは、露骨な性表現、エロい衣装を極端に嫌う。
ましてやドラッグや暴力表現などありえない。
だからこそ、欧米でKPOPが流行っているともいえるのだ。
(欧米では、娘がKPOPコンサートに行くと言えば母親は安心する。その会場にはドラッグも性的暴力もほぼないのだから)
大手事務所の人気アイドルは、カムバック時期のテレビ・ステージの衣装は毎回違う。今回のミニアルバム『Fe304:BURKE』のカムバックで、NMIXXはこれまで以上に肌の露出を抑えた衣装をそろえた。生足どころか、露出している肌は顔と手しかない衣装も数回あった。
これは世界に打って出る上で、正しい売り方だと思うし、正しいアイドルの姿勢だと思う。
そもそも(くどいが)NMIXXはとんでもなく色気がないグループである。
デビューしてもう2年、最年長のリリーは21歳、ソリュンだって19歳なのだが、見事に色気がない、もしくは自ら封印している。
しかし、最年少(マンネ)のキュジンは、デビュー時中学3年生で、まるっきり子どものからだであったが、この2年でいきなり姉たち以上に女のからだへと成長してきた。
いや、くだくだと何を言いたいのかといえば、キュジンの胸のゆれを強調する衣装やダンスやMVには、眼のやり場に困るのだよオッサンは。それだけ。
2月23日(金)鬼子母神は雨。
うう、クスリを射ちたい。
男性ホルモン注射治療以前の、ひどい状態を2年ぶりに思い出した。
まあ、治療以前は、テストステロンがほぼ枯渇しており、今の状態より、もっとひどかったのであるが。
それにしても、便所に立つことさえ、からだも気持ちも重い。
しかし、それでも「えいやっ」と立ち上がり、スーパーを往復した。
[夕食]
●鯛のアラの潮汁(大根、菜の花、ネギ)
●鯛のカマの塩焼き
●キャベツの浅漬け(出来合い)
●明太子のバラ子(ニンニク、ネギ、酒、胡麻油を足して煉る)
●海苔
●ごはん
●みかん
今月に入ってから、スーパーの魚売り場に、
「鯛のカブトの半割塩焼き(カマつき)&中骨(肉つき)の塩焼き」
が、大きな平たいパックに詰められ並ぶようになった。
値段はだいたい450円前後だが、立派な鯛のアラだった。
(スーパーOのすぐそばに、大衆割烹「O」があり、そこで余ったアラを調理して、スーパーへおろしているのだ)
その中に、ひときわ大きな鯛のカブトがあった。
値段は550円。
カマだけでも、かなり喰いでがある。
「けど、冷たい中落ちをほじくるのもなあ……いや、このままうしお汁にすればいいか」
で、小鍋いっぱいのうしお汁が出来上がった。
(だしの素は足したが)
すでに塩焼きされているので、生臭さもないし、塩っ気もちょうどよかった。
カマの部分はラップでくるみ、釜のごはんにのせ[保温]で温めた。
おいしゅうございました。
菜の花が効いたな。
おやすみなさい。
東京は氷雨がつづいているが、そろそろ春が近い。
便所の窓から見える梅の木のつぼみがそれを知らせてくれる。
来週こそクスリを射ちたいものだ。
ちなみにテストステロンも、けっこうラッシュするよ。
なんて嘘。
静脈注射じゃないからね。
よい夢を。
[2/29 トーク&朗読配信ライブ]
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2/29(木)OPEN 19:30 START 20:00
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配信アーカイブ
https://m.youtube.com/@user-lf9ff9zw5v/streams
90年代からゼロ年代にかけて、最も過激なストリートカルチャー誌として時代を疾走した『BURST』のオリジナルメンバーがお送りするネット配信トークイベント。
今回はBURST展こと「BURST on Fire」展(ギャラリー白線)にて、メインビジュアルを飾ったBURSTカバーガールにして、セルフポートレートのフォトグラファー、TSOUSIEを大特集してお送りします。
TSOUSIE自身の個人的な写真史は勿論、具対的なセルフの撮影方法や影響を受けたバックボーン、ブランク時の心境や作家としての精神と作品との関わり、さらには昨今のフェミニズムやジェンダー論にも踏み込みます。
さらには女性ファンも多いTSOUSIEが自分を「かっこいい」と言ってくれるファン達への強いメッセージも込めて熱く語ってくれます。
ご期待ください!
[3/16 詩朗読ライブ]
3月16日(土)
OPEN 18:30 START 19:00 END 22:00
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高円寺Oriental Force
https://oriental-force.com
杉並区高円寺南3-48-6
第八日東ビルB1 101
『Sound of BURST DAYS』
ピスケン ポエトリー
TSOUSIEポエトリー DJ
ケロッピー前田 ディジュリドゥ 打楽器 他
剛田武 リードフルート ノイズドール 他
ピスケンこと曽根賢(伝説の雑誌『BURST』元編集長)が、盟友・ケロッピー前田(身体改造ジャーナリスト)とTSOUSIE(BURSTカバーガール)とともに高円寺登場。
ピスケン朗読ライブ、地下音楽家・盤魔殿主宰の剛田武&ケロッピーの即興デュオ、さらにTSOUSIEのパフォーマンスDJも!!