[七曲り荘日記]
●巻頭連載[第116回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」
「図書館へ」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文
「Revolution」 キャンバスに、鉛筆、油、アクリル絵の具
昨日の休憩時間、10年ぶりくらいに図書館へ行き絵本を借りて来た。
洋書を翻訳した絵本もあり、選ぶのが楽しい!!
新しいカードを発行してる間、アートコーナーを覗いて見たけど、置いてある本は全く昔と変わってない印象で、マネ、モネ、ダリ、ピカソなど。
教科書に載ってそうな芸術家ばかりだった。
現代美術や洋書も置いてくれたらいいのになぁ。
なんなら、ジェイミーリードの(セックス・ピストルズのジャケのデザインなど)デザイン本とか置いてくれ! と思ったわ。
そんな事を考えながら、寒空の下帰路につきました。
[今週のブライアンのお勧め作品No.1]
最近、絵を描いてる時によく聞いている曲、"Ralph Robles"の『Come And Get It.』。
やっぱり、ラテンソウルは最高だな! と思わせる一曲。
是非聴いてみて!!
[3/16 詩朗読ライブ]
3月16日(土)
OPEN 18:30 START 19:00 END 22:00
¥1500+ドリンク代
高円寺Oriental Force
https://oriental-force.com
杉並区高円寺南3-48-6
第八日東ビルB1 101
『Sound of BURST DAYS』
ピスケン ポエトリー
TSOUSIEポエトリー DJ
ケロッピー前田 ディジュリドゥ 打楽器 他
剛田武 リードフルート ノイズドール 他
ピスケンこと曽根賢(伝説の雑誌『BURST』元編集長)が、盟友・ケロッピー前田(身体改造ジャーナリスト)とTSOUSIE(BURSTカバーガール)とともに高円寺登場。
ピスケン朗読ライブ、地下音楽家・盤魔殿主宰の剛田武&ケロッピーの即興デュオ、さらにTSOUSIEのパフォーマンスDJも!!
2月9日(金)鬼子母神は晴れ。
午前9時くらいだったか、二度寝してうつらうつらしてると、廊下から、どこかの部屋の扉を叩く、宅急便屋の声が聞こえた。
が、応答はなく、そのまま宅急便屋の声は途絶えた。
10時過ぎ、便所へいくため廊下に出た。
共同便所の手前の、205号室の扉に、B3の封筒が(床に)立てかけてあった。
印刷された河出書房新社の名前が読めた。
今回書いた作品の再校のゲラだとわかった。
その前を通り過ぎ、ひとまず便所へ入る。
小窓から見下ろすと、隣家の家庭菜園の土のあちこちに猫が散らばっていた。
今日も温かいものな。
205号室は一昨年の11月から開かずの間となっている。
そこに住んでいたおっさんが首を吊ったのは、10月の頭で、私が廊下に漂う「イカ大根」を炊いたような異臭に気づいたのは10月も末だった。
今回の作品に、そのことを数行書いていた。
まるで、おれにもチェックさせろと、ごねているようじゃないうか。
その205号室は、最初に半年ほど私が住んだ四畳半で、大家さんの勧めで、現在の六畳間に移ったのであった。
その際、住所変更を怠った。
今も役所の書類上は、205号室に住んでいることになっている。
だから、ゲラの宅急便がその部屋に届けられたのである。
「不在中投函可」と指示されていたので二度手間にならず済んだのだ。
今回、再校ゲラを送ってよこしたのは馴染みの編集者Nさんで、前回は編集長からだった。
河出書房新社には202号室に直して住所を届けていたが、Nさんは古い住所を控えていたのであろう。
「再校ゲラ受け取りました」
前回の初稿ゲラの直しに、新たな文章を4カ所も差し込んだので、編集部に悪く、再校は要りませんと書いておいたのだが、そこはやはり文藝編集部、初稿で著者責了とはプライドが許さなかったのか。
(入校した原稿が削りすぎており、ゲラで10数行空いていたので、改めて補足文章を差し込んだのであった)
そのNさんへのメールの追伸に、この小さなエピソードを書かずにいられなかった。
腐った彼が運ばれたあと、まるで私の代わりに首をくくったように思えたことも。
挨拶しても決して眼を合わせない、陰気な小男で、肝硬変患者特有の悪臭を放つアル中であった。
[夕食]
●すき焼き丼(牛肉切り落とし、玉ねぎ、卵黄)
●カブとキュウリの糠漬け
●昨夜の残りの味噌汁(豆腐、油揚げ、温めるときに生ワカメを足して)
●伊予柑
150グラム1,100円の牛肉切り落としが半額だったため、反射的に籠の底へ落とした。
確か、ひと月前も同じ反射があったと思うが、切り落としとはいえ、和牛ロース(宮崎産)がコンビニ弁当並に喰えるのだから当然である。
糖尿病患者なので砂糖はちょっぴり。
[今週の曽根のお勧め作品No.1/ The SMITHS『RANK』]
私の最初のおススメ作品は、やはりスミスから。解散した後に発売(88年)された、全盛期86年のライブ盤だ。
当時21歳の私は、このレコードを聴いてぶっ飛んだ。いや、ライブを経験したことのない世界中のスミス・ファンが驚いたであろう。なにせ、レコードとは比べようにならないほどパンキッシュで荒々しい音だったからだ(BPMも皆レコードより速い)。
特に1曲目「クイーン・イズ・デッド」と、10曲目「ロンドン」の轟音サウンドに21歳の私はやられた。そこでようやく「ネオアコ」バンドと呼ばれていたスミスが、なぜセックス「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」ピストルズと並び評され、暴動バンド扱いされていたのかを理解し、色々と「やっぱりなあ」と腑に落ちたのであった。
今聴くと、バックと比べてモリッシーの声が前に出過ぎていて(そこは80年代だから)、当時の轟音の衝撃が伝わらないかもしれないが、改めてバンドの演奏力や曲のキャッチ―さ、モリッシーの歌の巧さがよく解る、まとまりのいいミキシングになっている。
スミス未経験者にはぜひとも、これから爆音で聴いてほしいアルバムだ。代表曲がそろっているしね。
(これより毎週、かっちゃんと共に、音楽や本や映画、他になんでも勧めたいものを紹介してゆく新企画?です)
2月10日(土)鬼子母神は曇天。
AM9時起床。
珍しく、若いかわい子ちゃん数人とイチャイチャする夢を見て、おお、これぞテストステロン注射のおかげかと、目覚めたあともしばらく夢を反芻していた。
年甲斐もなくといわれたら、まったくその通りなのだが、まあ、夢の中でパワハラを使ったわけじゃないので許してほしい。
[朝食兼昼食]
●カップヌードル
●食パン1枚
●リンゴ半分
●みかん
午後1時、2杯分の濃いコーヒーを淹れ、飲んだあと、ゲラの再校を始める。
ページにすれば7ページなので、4回読み直し、朱(あか)を入れた。
けっこう、細かく直すカ所があったので、やはり再校のゲラを貰ってよかった。
1時間半ほどで終えた。
ひとまず、明日、もう一度読んでから宅急便で送り返そう。
(戻しは15日までとあったが)
[NMIXXつれづれ草2 ヘウォン]
●彼女のソロYouTubeライブ『月刊ヘウォン』にて。美しい。
●今回のカムバックで長い髪をばっさり切り、男前が上がったわけだが、ファン内の某アンケートでは、やはり長い髪派が6割以上いた。が、ショートヘア好きの私的には大正解。さすが中学生のとき1万人のオーディションで1位をとるだけあって、笑顔のアイドル度は致死量級。ファン・サイン会にて。
ヘウォン(20歳)はNMIXXの絶対的リーダーであり、長女であるリリー(21歳)と並び、KPOPアイドル史上最高のヴォーカリストと称される。
彼女の歌声の1番の魅力は、聴くものへ「真実を告げ、約束を交わす」ことだろう。
魔女だ。
リリーの歌声はまさに音の楽しみに満ちた倍音を感じさせるが、ヘウォンの歌声はジョンやゲッベルスのように呪術的倍音を響かせる。
(そういえば、ジョンがそうだったようにヘウォンもまた、全体にピッチがフラットぎみだな)
まさにリーダーの声であり、約束を結んだ聴衆はNMIXXを強く信頼し、共犯関係を望むのだ。
なにより、声の太さと声量はとんでもなく、アジア人として最高のフィジカルを誇る。小柄なのに。
(公式では身長164センチとなっているはずだが、ここ2年見ている私の眼には160センチあるかないかに見え、KPOPアイドルとしてはだいぶ小柄なのだ)
その「光のまったくない」瞳は常に、業界人の動きを睨み、NMIXXを舐めるやからへガンを飛ばす。
(ほら、そこはもちろんKPOP界はモンキー・ビジネスのアジア総本山なのであるのだから)
そこが、ファンから「清楚系ヤンキー」と呼ばれるようになった所以であろう。
(日本人NMIXXファンは彼女を「姐さん」と呼ぶ)
しかし、ファンへはもちろん、メンバーやスタッフに対して威圧感はまったくなく、常に道化を演じ、気さくでさばさばした優しさと「気働き」を見せる。
お辞儀の深さがバズったりもした。
その言動は常にギャグを生み、TikTokやYouTubeで、アイドルらしからぬ彼女のぶっ飛んだ様子が切り取られ、百万単位のバズリを連発する。
最初の1年は、曲よりも彼女のバズリでNMIXXが認知されていったほどだ。
ヘウォンはリーダーとして、やれることはなんでもやったのである。
(日本のオタク人気はヘウォンが断トツらしい)
そして、決してめそめそせず、MC力に長け、デビュー1年目から「不敵なアイドル」として、先輩アイドルからさえ一目置かれた存在として名をはせたのであった。
(レッド・ヴェルヴェットの確かスルギからラジオで「KPOP女子アイドル互助会書記(?)」を名指しで勝手に任命されていた)
つまり、彼女の知性の高さが、メンバーをして「ヘウォンがリーダーでなかったら、とっくにNMIXXは終わっていた」と言わしめたのである。
(それだけNMIXXへの風当たりは強かったし、ジニの突然の脱退もあった)
ソリュンが練習生時代のエピソードとして、ヘウォンの言葉を語ったことがある。
毎月行われる課題審査で、最初の課題に失敗し泣きかけたソリュンへ、ヘウォンは「いま、泣くとうまく歌えないから、歌い終わってから泣いたほうがいいよ」と諭したという。
まるで漫画にありそうなエピソードだ。
あとでヘウォンは「あれは言い過ぎた」と謝ったそうだが、ソリュンはエピソードを語ったあとに、自分に1番欲しいものはあのヘウォンの「断固さ」だと語った。
「断固さ」とは、翻訳された字幕の言葉で、日本語としては変だが、かえって感じが解るじゃないか。
NMIXXは6人が6人、ヴィジュアル、歌、ダンスに優れたオールラウンダーが売りだが、やはりそこは自然と、ファンからはポジショニングされている。
リリーとヘウォンはメイン・ヴォーカルと呼ばれている。が、彼女のダンスは、メイン・ダンサーと呼ばれるジウとキュジンに決して引けを取らない。体幹がぶっとく、柔軟性はメンバー1だ、
もちろん、そのヴィジュアルのアイドル度数の高さは見ての通りだ。
つまり、彼女こそNMIXXのリーダーとして申し分のない、現在のKPOP界が誇るオールラウンダーなのである。
ただし、チョンボの多さもメンバー1で、大舞台で最初の音を外すは、テレビの生パフォーマンスで靴を飛ばすは、しょっちゅうライブで声を裏返しては、物凄い顔芸を披露して、ファンを沸かせるのであった。
[観るべきヘウォンYouTube3選]
●[リムジンサービス]EP.55 NMIXX ヘウォン
リムジンという歌手がホストを務める音楽番組で、リリーにつづきヘウォンがソロで出演し、たっぷり歌声を聴かせてくれる。
ちなみに[リムジンサービス]には、2人のあと、ソリュンが、そして先日ベイが出演し、同グループから4人も出演したのは前例がない。ばかりか、あと残り2人ジウ、キュジンの出演もほぼ確定している。
●[NMIXX]元JYP大先輩スジによる恋愛テクを再現するヘウォン劇場[日本語字幕]
彼女の『月刊ヘウォン』というソロ配信ライブの一部を、ファンが切り取り編集した3分半ほどのコンテンツ。やはり歌ばかりではなく、彼女のコメディエンヌぶりを紹介しないと片手落ちになるので。
●【歓喜】ヘウォンのMOVE、力強さがナムジャレベル#treasure
もともとTikTokでバズったもので、彼女のダンスの魅力がよく解る映像だ。
男性アイドルのダンスを、男並みのスピード&ヒットで踊りながらも、なよやかな柔らかさを交え自分のものにしているところが素晴らしい。
シングル3枚目にして、やっと音楽番組で1位をとったときの伝説的カット。ソリュンやベイが大泣きしているのを、思いっきり指さして笑っているリーダーと、それを慌てて止めるマンネ(最年少)。私はこれぞNMIXXのリーダー、音楽番組で1位なんぞとるに足りないことだという彼女の気概に感動し、惚れ直したのであった。
2月11日(日)鬼子母神は晴れ。
シギーが贈ってくれたパンタの追悼本『パンタ/頭脳警察――反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』(ミュージック・マガジン増刊)を読んでいたら、以下の部分に眼が止まった。
『ミュージック・マガジン』2002年8月号に載ったパンタへの再録インタビューである。
(聞き手=小野島大)
――『Naked Ⅱ』の取材で、「頭脳警察の再結成で《万物流転》って曲を書いて、”長くやってても、結局歴史なんか変わらないんだ”って歌ったら、次の曲が出てこなくなった」とおっしゃってましたけど。
「うん。で、それは後日談があって。99年暮れに遠藤ミチロウと瀬戸口修で朝まで話してたんだけど、そのとき《万物流転》の話も出てさ。瀬戸口がタルコフスキーの映画について教えてくれたんだよ。その映画は”世界は同じことを繰り返す。でも少しずつ変わっているのだ。いや、変わらなくてはいけない”っていう言葉で終わるらしいんだよ。その言葉で俺は肩の力がスーッと抜けたのね。そうか、同じことを繰り返していいんだと。時がたち、状況が変わり、同じことを繰り返しているようでも絶対に違うんだ、と。何も大上段に新しいものとか違ったものとか、そういう意識じゃなくて、もっと楽にいけばいいと」
インタビュー中の《万物流転》という曲は、1990年の頭脳警察再結成時にだしたアルバム『頭脳警察7』のラストを飾り、またシングルとしてMVもつくられた傑作だ。
古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの思想「万物は流転する」(パンタ・レイ)を根底置いた、かなり難解な曲でもある。
(ちなみにパンタの芸名は、小学生の頃からのあだ名で、当時パンタロンばかり履いていたからとか、電車のパンタグラフからとか言われている)
「ああ、やはりパンタも、そこで悩んでいたのか」
と、思い、更にその先の考え方を教え諭してくれたように受け取ったのである。
実は、ここ数年、どうしてもパンタと同じネガティブな諦めに囚われ、作品をつくる際はもちろん、生きてゆくことさえ、モチベーションを保つことが辛かったのだ。
齢を重ねるにつれ、様々な「諦念」をおぼえてゆくものだ。
が、諦めるとは、自分の限界を定めることだから、万物流転なんて大きなテーゼに真正面から向きあえば、そりゃ、誰だって一所懸命に生きてゆくことが阿保らしく思えてくる。
が、しかし、なにも、そんなにマジメに考える必要はない。
お前は、世界の中で、単純明快ひどく矮小な存在ではないか。
「少しずつ変わってゆくのだ、と信じて生き、つくってゆけばいい、何も変わらないなんてカミサマの視点に立つこと自体がおこがましいじゃないか」
と、私の方もスーッと肩が楽になったのだ。
いやあ、師匠、いつもいつも、ありがとうございます。
[早い夕食]
●塩鮭焼き2切れ(1切れ100円と安かった)
●とろろ(海苔をもんで)
●たくあん
●辛子明太子(のバラ子)
●昨夜のアサリの味噌汁(三つ葉)
●ごはん
ううむ、旨い。
やっぱ日本人の舌には、このアンサンブルがたまらないな。
三つ葉がキモだよね。
おやすみなさい。
ゲラを戻すのは明日にまわそう。
虚無感なんて、体力のある小僧のものだ。
今年7月で還暦を迎えるジジイは今日できる1つのことに励もう。
ただし、老いてますます盛んとは狂気の沙汰だ。
小さなことを人知れずこつこつと。
夢の中ではイチャイチャと。
よい夢を。
[2/29 トーク&朗読配信ライブ]
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2/29(木)OPEN 19:30 START 20:00
¥1000+D @TABASA_asagaya
http://asagayatabasa.com
観覧できます! ぜひ会場で!
配信アーカイブ
https://m.youtube.com/@user-lf9ff9zw5v/streams
90年代からゼロ年代にかけて、最も過激なストリートカルチャー誌として時代を疾走した『BURST』のオリジナルメンバーがお送りするネット配信トークイベント。
今回はBURST展こと「BURST on Fire」展(ギャラリー白線)にて、メインビジュアルを飾ったBURSTカバーガールにして、セルフポートレートのフォトグラファー、TSOUSIEを大特集してお送りします。
TSOUSIE自身の個人的な写真史は勿論、具対的なセルフの撮影方法や影響を受けたバックボーン、ブランク時の心境や作家としての精神と作品との関わり、さらには昨今のフェミニズムやジェンダー論にも踏み込みます。
さらには女性ファンも多いTSOUSIEが自分を「かっこいい」と言ってくれるファン達への強いメッセージも込めて熱く語ってくれます。
ご期待ください!