魂を腐らせないように、不快な四谷の街に雨が降っている。 | 曽根賢(Pissken)のBurst&Ballsコラム

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元『BURST』、『BURST HIGH』編集長の曽根賢(Pissken)のコラム

[日記]
ここ3日、酒を呑まなかったが、それでも睡眠は1時間半ずつの飛び飛び。
朝4時にいったん起き、ヨーグルトを食べ、またうつらうつらする。
7時に起き、午後3時の銭湯の開くまで、原稿を書く。ユーチューブでタイマーズを見聞きしながら。

朝食兼昼食は、きのう作ったスープで、昨日と同じ味噌ラーメン。

なかなか3時にならない。
晴れていた空が真っ暗になり、雨が降りだした。
ようやく事務所の時計の針が、午後3時をさす。
傘をさし、夜みたいな空の下、銭湯へ行く。
普段は、人のいない銭湯に、けっこう客がいる。日曜日だからだろう。
と、思いきや、熱い湯船に浸かり、時計を見ると7時半をさしている。
事務所の時計が、電池切れで、遅れていたのだった。
つまり、起きた時間も定かではない。
それくらい今の、私の体内時計はあやふやだ。

書き忘れていたが、銭湯へ出る前に、2時間ほど仕事をしに来てた、事務所のSちゃんが帰る。帰り際、私の身を案じながらーー。

風呂帰りの急な坂道がつらい。
酒を3日やめたのに。からだが浮浪者なみに、湯あたりだ。
実は、3日ぶりの銭湯だった。
前回のブログで、力づくで銭湯に行くと書いたのだが、銭湯の湯の熱さを想像するだけで、身がすくんだ。

けっきょくウイスキーを買って、薄い水割りにして呑んでいる。キリンの『富士山麓』50度、950円なり。

肴は、私を棄てた女が昨日、役所の書類と一緒に宅急便で送ってくれた、ふぐの醤油漬けとイカの船干し。
女は、会社をやめて現在、釣り船の「なかのり」をしている。
ただし、メールでお礼を送っても、言葉は帰ってこない。
そこは、きちんとした女だ。

ふぐの醤油漬けは、きのう生で、ご飯に乗せて食べた。まだ、生だと歯ごたえがありすぎ、今夜はアルミホイルの上に乗せ焼いた。
ふぐのあぶら(?)は、アルミホイルにたっぷりと溜り、生姜をきかせた醤油のたれと混じって「たまらなく」美味なり。
イカの沖漬けは、まだ冷蔵庫にとってある。これは、さすがに日本酒だろう。
もちろん今夜も、酒を買うとき迷ったが、三日ぶりのからだは、ウイスキーを選んだ。

煙草は、女に棄てられてからずっと『わかば』。
去年、煙草が値上がりし、ハイライトが410円になった。
なので、ヒモの私は『わかば』250円に替えようとしたのだが、煙草を吸わない女が許さなかった。

現在『わかば』1日2箱半。てきとうに不味くて安くて、ひとりっきりだと本数が増える。

四谷の街は、なぜか不快なり。
新宿通りには24時間しょっちゅう、パトカーと救急車と消防車のサイレンが耳をつんざく。
早朝、深夜、コンビニへ行くたび、すれ違う人間が、なぜか不快なり。
日中の人並みはそれ以上に、なぜか不快。
皆、まっとうな人間に見えず、恐い。
不良品の、我が身の消耗さかげんに、げんなりする。
四谷で好きなのは、歩いて10分のお岩稲荷だけ。
思わず火をつけたくなるほど好きだ。

明日はK文社へ、週に1回の内職出社。

今頃になって、自分以外の同世代の男たちが、どういう気持で、毎日を過ごしているのか疑問に思う。

ちょっとした昔。私と前の女が住んでいたマンションに、同い年の荒くれ者が半年間、居候していた。
その後、荒くれ者は人殺しで無期懲役となり、現在は徳島の刑務所にいる。

事件があったとき、新聞社やテレビ局から、私へ電話があったが、私は初耳で驚くばかりだった。
むろん私に言葉はなかったが、その晩、荒くれ者と関係のあった私とほか2人で、無言のサークルを作っていたとき、私の口から不意に言葉がついて出た。
「幸せって、なんだろう?」
間髪入れず、
「子供じゃないですか」
と、男2人へ、K女が言った。

その言葉が忘れられない。

私はエロ本編集者になりたての26歳のときに、エロ本男優としてからんで副睾丸炎になり、種なしとなった。
上記の際にいた、もうひとりの男は、今だ子供をつくっていない。
幸せは「子供」だと言ったK女もいない。
K女と、私を棄てた女は同い年だ。今年39歳。
(だから女が私を棄てたわけじゃない)
でも、
私は、K女の言葉を忘れられない。
「幸せは子供」
私は、その言語を聞いて、二の句を付けないどころか、感心した。
千古の自明を、あからさまに耳にして。

[小説『火舌』(仮)について]
タイトルと共に、今だ最終章湧き出ず。ただし、それ以外の章は、今日でやや満足。

[新企画写真雑誌『BALLS』について]
これを読んでいてくれる編集者よ、勘だけでコミットするやからはおらんか。

[他人の作品について]
ビートルズの『レイン』。雨が降っていなきゃ、それは晴れてるってだけだ。

[今日の詩]


『魂を腐らせないように』

魂を腐らせないように
水を飲む

魂を腐らせないように
太陽を浴びる

魂を腐らせないように
米を研ぐ

魂を腐らせないように
 風呂に浸かり
  酒を呑み
   煙草を吸い
 眠る 背骨の上で


魂を腐らせないように
淋しさを燃やせ

魂を腐らせないように
雨の中をひとりで歩け

魂を腐らせないように
嫉妬を日に干して、強く叩け

魂を腐らせないように
 昨日、火に焼かれ
 明日、火に焼かれ
 今日、カラを破って死ぬ

魂を腐らせないように
死んで死んで
死ねばいい 
淋しい魂よ

  魂を腐らせないように
 魂を腐らせないように
魂を腐らせないように

死んで死んで死ねばいい
 魂を腐らせるくらいなら
死んで死んで死ねばいい

  6月11日深夜0時6分

四谷は雨が降っている
 私のためにお岩様が泣いている 
  魂を腐らせないように

不快な四谷に雨が降っている



これまでコメントをくれた方々、返しこそしませんが、ありがとう。
おやすみなさい。