11月の下旬、クレーンに吊られ、窓から空へ、そして工房に向けて出発したピアノは
相模原市内にある工房でオーバーホール作業に入っていた。
全部ばらして、古い弦やパーツを交換し、組み立てなおしてから
音を調整する。本当は組立前の状態で見てみたかったのだが、
作業のお邪魔かと遠慮しているうちに、ピアノは組立て終わってしまったようだ。
それを知っての3月、工房にお邪魔して見せていただく機会があった。
工房内にはぎっしりと作業前、作業中、作業後のピアノが所せましと置いてあり、乾燥エリア、組立エリア、塗装エリア、と細かく分かれており、さらに作業用の小さなスペースで、いつもの調律師さんが内部の小さなパーツを(紙1枚のリングとか・・)1つずつ調整しながらはめていく作業を続けて下さっていた。
ちょっと興奮してきちゃうくらい、見たことのないピアノの姿だった。足をはずして、本のように並んで立てて収納?されているグランドピアノとか、
ピアノの足だけでも、見たことないようなバリエーション・・
我が家のピアノの「ふた」はこんな風に、塗装しなおしてきれいに・・乾燥中。
すべて入れ替えるためにはずしたハンマーが、作業台の上にずらーっと並んでいた。
廃棄されるため、記念にどうですか??と言ってもらい、、19と52を選択。
母が亡くなった時の私の年齢と、ピアノオーバーホールをした年の私の年齢。
母が30代から亡くなる直前まで弾いていたピアノとのつながりを忘れないように。
ハンマーは何十年も弦を叩き続けてフェルトがすり減っている。
私が不貞腐れて乱暴に鍵盤をたたいたり、時に鍵盤の上に突っ伏したりしたこともあった、ごめん。
調整の作業はそこから1か月以上は続き、5月には納品のめどだという。
しかしあくまでも手作業なので、日程については前後するとのことだった。
いつもの調律師さんはこの工房に通い続け、日々作業を続けて下さっている。
お店のピアノ、舞台のピアノ、ライブハウスのピアノ、家のピアノ、学校などにおいてある傷だらけの、でも子供たちの中心にずっとあるピアノ、いろんなピアノを見てきたが、工房のピアノを見られたのは初めて。
納品日が楽しみ。