地獄の2丁目8番地:論文嵐 | ピロの屋本館@ロサンゼルス

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天使の女王の町Los Angelesでの生活記録

 

Spring 2021 地獄の2丁目

 

さて、インターン先での出来事は

また少し置いといて、

トピックを学校に戻しましょう。

 

 

Dr.デーモンのクラスでは、

相変わらずヒーヒーと

言わされてました。

 

 

毎回当てられる授業の他に、

テスト、サマリー、それから

論文が大変で大変で。。。えーん

 

 

以前も書きましたが、

1学期の間に論文6コとか、

めちゃくちゃなクラスだったので、

そこはホント、

ネイティブでない私にとっては

かなりのチャレンジだった。

 

 

しかも、多くの場合論文は、

APA Formatというスタイルで、

ダブルスペースなんだけど、

Dr.デーモンのクラスでは、

APA言っときながら

シングルスペース、

つまり、4ページ書け言われれば

それは8ページくらいだし、

6ページ言われれば

これも12ページとなる。

 

 

16週の学期で、

2、6,8,10,13,15週目に

それらの論文の提出があり、

1,5,9,12,16週目が

テストの週。

 

 

それから

1週目から15週目までは、

毎週のようにサマリーの

提出があった感じです。

 

 

もぅ、マジで

勘弁してくれって言いたくなるほど

アップアップしてましたね、

あの頃は(笑)。

 

 

 

 

さて、簡単にどんな論文を

やっていたかを

備忘録的に残しておきましょう。

 

 

まずは

Postmortem pH Shift

という論文から始まる。

 

 

これは、pHとはなんぞや?

から始まり、死後、身体のpHが

どのように変化していくか、

その変化がなぜ起きるのかを

一般的説明ではなく、

分子レベルの専門用語を使用して

解説しなければならない。

 

 

更に、そのpH変化がどのように

エンバーミングに影響するか、

そしてそれを考慮した

薬品の選び方などを考えて

論文にするというもの。

 

 

それからこのDr.デーモンの

論文には、

必ず手描きのイラストを

加えなければならい。

 

 

どこかのサイトからの画像ではなく、

手描き

である。

 

 

Dr.デーモン曰く、

『それを描くことによって、

理解や記憶が深まるから』

ということだった。

 

 

まぁ、彼のクラスは

とてもハードではあったけど、

強いて言うならば、

この部分のみが

私の得意分野だったかなぁと(笑)。

 

 

というわけなので、

イラストも

アップしておくことにしよう。

 

 

これは死後のpH変化を

グラフにしたもの

 

 

腎臓のpH管理機能

 

 

 

エンバーミング液のpH範囲

 

 

一応この論文では10/10で

Full pointsをもらった。

 

 

 

 

 

次はMuscle Physiology

 

 

この論文では死後硬直に関してが

メインになるので、

筋肉の構造から始まり

死後硬直に至るまでの過程を

説明していく。

 

 

筋肉の構造

 

 

筋肉の動き

 

 

死後の変化は大きく分けて2つ。

物理変化と化学変化。

 

 

恐らく多くの人が、

死後身体が硬直する現象を

物理的変化と考えると思うけど、

実はこれ、化学変化によって起る。

 

 

それを解説したイラストが以下。

 

 

死後硬直のメカニズム

 

 

アクティンとマイオシンという

プロテインの一種たちの

仕業により起る現象。

 

 

この論文には、

Dr.デーモンが明記した

15コの専門用語を

文中に入れて解説

しなければならなかった。

 

 

でもこの論文でも

Full pointsをもらうことができた。

 

 

 

 

さて、次が多くの生徒にとって

難しかったもので、

Create A Fluid

 

 

エンバーミング液の調合から、

エンバーミング、それから

その後の処置までを全て説明し、

なぜそうするのかも説明する。

 

 

Dr.デーモンが書いた

ご遺体のコンディションに沿って

エンバーミング液を選ぶんだけど、

最初っだっつーのに

検死解剖したご遺体を

持ちだすところが

なんとも彼らしかった。

 

 

このクラスは、

エンバーミングの基本を学ぶ

とても重要なクラスだったので、

この論文は50点と

一番高い配点だった。

 

 

この頃、実際に

エンバーミングをしてたり、

現在の私のポジションの

Apprentice Embalmerに

なっていた生徒は

クラスでもたった1人

だったこともあり、

この論文は多くの生徒にとって

ハードだったことは間違いない。

 

 

例外なく私もとても困ったので、

その課題をインターン先に

持って行って、マネージャーのサンドと

スーパーバイザーのピナにも

見せたけど、2人声を揃えて

言った事が

『What's the hell!』だった。

 

 

現場で働いている

彼らですら困ってしまうような

その論文のテーマに、

ピナが先輩に連絡して、

ピロの宿題を見てやって欲しいと

伝えたらしい。

 

 

翌日その課題を見た先輩は、

驚く事もなくこう言った。

 

 

『言う程難しくないぞ、この課題。

いいかピロ、

デーモンが探している事は、

”俺が授業中に説明したことを

生徒がどれだけ理解できているか”

だけだ。だから

デーモンのレクチャーを思い出し、

それを論文に入れろ』

 

 

さすが先輩、Dr.デーモンを

知り尽くしている(笑)。

 

 

それでも私は頭がテンパってしまい、

なんやかんや色々考えてるうちに

なぜか検死解剖がどっかに飛んで、

薬品選びとかその作用にばかり

集中してしまった。

 

 

で、私が書いたエンバーミングは、

解剖されて胴体の血管が

ないにも関わらず、

頸動脈を使用して

全身に薬品を回らせる

エンバーミングだった(笑)。

 

 

しかし、意外だったのが、

そんな頓珍漢な論文だったけど、

採点は45/50くらいで

悪くなかったということ。

 

 

むしろそのエンバーミングに

関してDr.デーモンが

指摘することはなく、

その後の処置をするにあたり、

様々なマテリアルを述べてあることを

褒められた。

 

 

か、しかし、

まんま褒めてくれるような

甘い教授なわけはなく、

 

『ピロ、なかなか様々なマテリアルを

述べているのは良い!

でもそれらがなんなのか、そして

どういった作用があるのかまで

しっかり書け!』

 

とのコメントだった。

 

 

 

お次の論文は

Cardiovascularといって、

赤血球の旅を解説するもの。

 

 

エンバーマーたるもの、

どの血管がどこを通っているか、

血液が体内をどのように循環するかを

心得ていなければならないのでね。

 

 

そしてこの時のDr.デーモンの指示は、

右心房から始まり、左足親指の

真皮細胞まで栄養を運び、

そしてまた右心房に戻るまでを

解説せよってものだった。

 

 

けど~、

 

 

そんな高校レベルのことを

あのDr.デーモンが

わざわざ課題にするわけがなく、

それらの付属が沢山あること。。。

 

 

そこに行って帰ってくるまでに、

上差し心臓の構造説明

上差し動脈、静脈、毛細血管、伴行静脈と

微小血管の解説

上差しそれぞれの血管の名前

上差し血管が何回分岐するか説明

上差し動脈硬化と

アテローム性動脈硬化の違い

上差し血液凝固の過程、

 

 

なども加えなければ

ならなかった。

 

 

そしてそれらの論文の為の

イラストがこちら。

 

 

心臓の構造

 

 

体循環と肺循環

 

 

血管の名前と分岐

 

 

動脈、静脈、毛細血管の構造の違い

 

 

血液凝固メカニズム

 

 

Dr.デーモンは恐らく

私の書いたエンバーミングに

関しては、

 

『まぁまぁ、コイツはまだ

エンバーミングの1回も

やったことないから、

検死解剖ケースで

血管エンバーミングをやったら

どんな事になるか、

実際やってみたら

わかるだろうから、

そこはほっとくか。。。』

 

思っての採点だったのだろう(笑)。

 

 

そしてそれを実行したら

実際どうなるか?

 

 

薬品がバシャバシャ漏れ出して

大騒ぎですね(笑)。

 

 

 

次はDiscoloration。

死斑といって、死後に起こる

変色について。

 

 

これがまた先ほどの、

物理変化と化学変化があるので、

どの変色がどっちなのか、

なぜ起こるのか、

それから、エンバーミングで

変色を戻せるのはどれか

などなどを解説する論文。

 

 

変色が起こるメカニズム

 

 

よく覚えていないけど、

確かこの論文でも

Full pointに近い成績は

取れたと思った。

 

 

と、、、、

 

 

Dr.デーモンのクラスでは

こういった感じで、

授業でチラッと述べて、

あとは独自リサーチで

論文を書いて提出

というパターンだったんだけど、

リサーチと言っても

あるのは生前の事がほとんど。

 

 

なかなか死後に関する件って

情報が多くは無くて

困ったのを覚えている。

 

 

それから、この辺りから、

クラスメイトの

バカンジーと連絡を取り合い、

インターン先で

一緒に宿題をやったりしていた。

 

 

まぁでも彼女も

基本的には私と成績が

似たり寄ったりだったので、

そこまでヘルプになるかと言うと

そうでもなかった。

 

 

むしろ、

宿題やら課題やらに

とりかかるのは

私の方が早かった関係で、

私が終わった宿題を

彼女に送って参考にさせてあげる

ってパターンが9割だった。

 

 

それでも、当時Zoomで

なかなか他のクラスメイトとは

会えなかった関係で、

心強かったのは確かで、

まぁその後我々は

クラスメイトとして

どんどん接近していくこととなる。

 

 

それにしても、

実際現場でエンバーミングを

やっている今、

こうして当時のイラストを

見返して思ったのが、

間違えてるなぁ~と(笑)。

 

 

血管を印してある位置に

若干の違いがあったり、

実際その血管はあるんだけど~、

でもそれはそこまで

エンバーミングには重要でなく、

それよもこっちの血管じゃないか?

的なのとかも(笑)。

 

 

それとかあと、

足は最後までしっかり

描いてあるけど、

手は描いてないとか(笑)。

 

 

まぁ、学校行ってる間なんて

所詮そんなもんだろうね(笑)

 

 

 

ということで、

またの記事をお楽しみに音符