力業の名演奏 ながぐつボッチャーン 軽部武 | 2018年 本棚への旅

2018年 本棚への旅

年間200冊の本を読む活字とインクの森の住人、
ピロシキ亭のシロクマおじさんの読書録です



ながぐつボッチャーン 軽部武広 32頁 ★★★★ 204冊目

妖怪絵本作家(ФωФ)の軽部さんのオリジナルなのですよ。

怪談絵本シリーズという名作シリーズがあるんですが、これは
そっちではありません。
怪談絵本シリーズは小説家の原作と絵師のコンビによる妙味
というものがイイ味出してるんですが、
こちらはもう御大コルトレーンのソロアドリブサックスのような
すんごい力業の名演奏が味わえます。



持ち主からボッチャーンと離ればなれになった片方の赤いながぐつ。
川を流れ流れて色んなさかなやドジョウや異形のモノノケたちが
ながぐつに絡んできます。
画面いっぱいの川のいきものたちがうねうね、わらわら、
じゅぼじゅぼ、ぞわぞわ、と。。。。 



ああ、そうだ。そうだ。川ってやつは、水辺ってやつは
中に色んなモノを孕んでて、特に日が落ちてからのあの場所は
どんな神社や墓場よりもおっかない場所だったっけ。



でも怖さや気味悪さだけではない、
引き寄せられるもの、つい見入ってしまうもの、
悪いコトしてる時のようなどきどきするもの。
そーんな感情がごぼごぼとアブクのように浮かんでは弾ける。。。。

読み聞かせてると、聞いてるこどもは、この言葉のひびきと
サイケな絵に夢中になり、
読んでる大人はしらず霧中にいて自分の居場所を見失う。。。
そんなステキな絵本でゴザイます。