娘が長く愛用している置き時計があります。

 

 

大好きな従姉妹のお姉さんに教えてもらって、唯一実践し、そして習慣として残ったタイマーによる勉強法を支えてくれた時計ですが、とうとう使えない機能が出てきたので、お別れすることになりました。

 

amazonで調べてみると、去年モデルチェンジした新バージョンが出ているそうな。

さっそく注文し、即到着、箱を開けようとしたら慌てた様子の娘が一言。

 

「今日、一粒万倍日?」

 

確かにわたしもお財布と手帳を新調する時には一粒万倍日や天赦日、寅の日など良き日を選んでいますが、時計はいいんじゃないかなー?

 

「ダメだよ!お母さん!石は無時間性を司り、時計は有時間性を司るんだから!」

 

え……えーと。

すごい。

なんだかわからないけど、すごい。

先日、夫相手に寺山修司における時計の存在についてご高説を宣っていた時の、エターナル厨二のわたしの言葉よりも凄みがあるw

娘ちゃんたら、いつからこんなに切っ先の鋭い言葉を咄嗟に出し入れできるようになったのだろう。たーのしー。

『売りにゆく柱時計がふいに鳴る横抱きにして枯野ゆくとき』

 

かの有名な詩の流れで、娘の古典を勉強中の話も、ひとつ。

今回の試験の話ではないのですが、古文も漢文も言い回しが厨二ぽいらしく、意外とはまって直感的に読んでいるようです。

ただ、脳内での妄想を加味してしまっているので、読解がめちゃくちゃBLで聞いてておかしくなります。

 

そんな中「お母さん、この漢文が切なすぎる……!」と教科書を持ってきました。

 

渭城ゐじやう朝雨てうう軽塵けいぢんうるほ

客舎かくしや青青せいせい柳色りうしよくあらたなり

きみすすさらくせ一杯いつぱいさけ

西にしのかた陽関やうくわんづれば 故人こじんからん

 

これってさ、

「俺がここ陽関で国の境を守る。きっと命を落とすだろう。この命に代えてもお前をこの先の西安にゆかせる。だが、お前には俺以上に親しい人間はいない。だから、これから先、誰からも酒を勧められることはないだろう。俺の最後の一杯を飲んでいってくれ」

って、ことでしょう。と涙ぐんでいます。

 

えーーーー。

「自分のいるここが国の境で、お前は今から遠い西安の地にいる辺境守備隊に手紙を届けなければいけない。知らない土地に行くのだから、誰かとお酒を飲む機会もないだろう。だから、この一杯を飲んでいけ」

ってことじゃないの!?

 

ネット先生によると、そう解釈できるんだけど。(違っていたらごめんなさい)

いえ、前後関係を知らないので、もしかしたらその奥にはそうした戦況も含まれているのかもしれませんが、その想像力に笑ってしまいました。

古文も漢文も得意じゃないのに「この時代の人たちの表現って綺麗だねー」と涙ぐむほどに入り込んで勉強していて可愛い。

 

ちょっとだけ本気になり始めた娘は勉強中もなんだかんだ楽しみを見つけていて、サボることこそ至高!と思い込んでいた小学校・中1~2時代よりもキラキラしている様子で安心しました。

このまま、自分が一番楽しいと思える学問や、なりたい将来の姿を見つけてくれると嬉しいな。

ゆっくりで、いいからさ。