寒くなってベッドから起きられなくなってきました。管理人です。

2年前から『電気暖炉が欲しい』と思ってコツコツ貯金していたのですが

今年やっと、やっと買うことができそうです。

 

なぜなら、就職が決まったからです!

やれニートだ、やれ日雇いだと親や親戚に後ろ指を指されていた自分とは

もうおさらば。私は社畜になったのです!!

というわけで、今のうちに本でも読んでおこうかなと、そういうわけです。

 

本日の本はゲーテの『ファウスト』です。

死ぬ前に「もっと光を!!」って言った人です。

『ファウスト』は昔からあるファウスト博士物語を

ゲーテが自分流にアレンジしたものだそうな。

「時よ止まれ、お前は美しい』のセリフは余りにも有名でしょう。

 

あらすじは、こちらのサイトさんが詳しいと思うので割愛。

http://rhinoos.xyz/archives/9054.html

あらすじとかあってないようなもんですからね!

おっさんの学者が悪魔と契約しーの、少女に恋するも殺しちゃいーの

ローマ皇帝にとりいりーの、絶世の美女とけっこんしーの

海辺開拓しーの、ポロッと世界美しいといっちゃいーの

最後は愛!!愛愛愛!とにかく神の愛で強引に救われましたー!!

みたいな話ですから。

 

この物語はドイツ語では全て韻を踏んでいるらしくて

それを味わうというのも楽しみの一つだと思うのですが

日本人は何を楽しめば良いのでしょうか。

個人的に私が楽しいなと思ったのは以下の二点。

 

①中二病のお手本みたいな台詞回し

 

『この男は、どんな快楽にも飽き足らず、どんな幸福にも満足せず、

移り変わるもろもろの姿を追って、人生を駆け抜けた。

そして最後の、分のわるい、中身のない瞬間を、

哀れにも、引き留めようと願った。

どうにも手剛い相手だったが、

時には勝てず、この通り、砂の中に倒れている。

時計の針は止まったぞーー』

(新潮文庫版『ファウスト(二)』p421,422より)

 

これはファウストが賭けに負けたときの

メフィストーフェレスの台詞ですが、なんかね、大袈裟。

あとなんか全部説明してくれててわかりやすい(戯曲だから当たり前だけど)

声に出して読みたいメフィストーフェレスって感じ。

 

前編を通してこれですからね。

暑苦しい!!でもなんか読み進めちゃう!

力のある台詞回しで楽しかったです。

 

②キリスト教的世界観と愛と許し

 

天使だとか悪魔だとかぼんやりとはわかっていても

ゲーテの時代の人がそれをどう捉えていたか、私は知りませんでした。

例えば悪魔は天国から落ちて来たから足が不自由でびっこを引いているとかね。

また悪魔はキリスト教的考えが浸透してからできたものだから、

それより以前のギリシャ神話の神々とは面識がないとかね。

そういう細かい設定?が楽しかったですね。

 

またクリスチャンの人がこの本を読むならば

最後にファウストを待ち受けている圧倒的な神様の愛情に

感動するかもしれません。

 

この世界観全てを理解するのは

生粋のドイツ人でもないと難しいのかもしれませんが

その片鱗に触れて、少しだけ人として豊かになった気がします。

 

 

 

 

 

 みなさん、ご無沙汰しております。

ニートの強い味方、副編集長です。

約1年間、資格の勉強に精を出しておりまして、

ようやくそれが終わったのでまたぼちぼち

再開して行こうかなと思っております。

 

 本日の本は、辺見庸さん『もの食う人びと』です。

友人がビブリオバトルというイベントで紹介してくれて

興味を持ったので読んでみました。

 

 最初タイトルだけ聞いたとき、「グルメ本かなにかかな?」と思いました。

しかし、その予想は最初の章のタイトルでで間違いだったとわかります。

そのタイトルは「残飯を食らう」です。

 

 この本は、作者が古今東西のリアルな食を求めて旅をした記録です。

しかもその食事の内容がすごい。

バングラディシュでは残飯を食べ、チェルノブイリでは放射能汚染された

キノコスープを飲み、ラプーフという食材を求めては彷徨い歩き……。

人が肉体から離れられない以上、食というものはどんな形であれ身近にあります。

そこから人の姿を浮き彫りにするというルポルタージュなのです。

 

 全体を通して感じたことは、かくもものを食らうという営みは

人間らしく、五感を刺激するものだったのかということです。

文字列からにじみだす残飯の饐えた匂い、

列車に漂う腐敗臭、珈琲とバターのいい香り、

人々の話す声、笑い声、泣き声、

砂の感触、海の音……とにかく五感に訴えかけてきます。

そして、食べるという行為は決してお上品なものでなく、

均質化されたものでなく、人そのものを写す鏡なんだということです。

 

 私が特に心に残ったのは正教会の修道士の食事です。

数々の「食事の暴力」とも言える描写を読んだあとでは、

清貧を体現した、静かな食事は異様ささえ感じます。

生きるために食べ、生きるために拳銃で身を守る修道士の姿に

一種のちぐはぐさを感じるものの、これが人間の姿だなと

妙に納得してしまいました。

 

 この本が書かれた1996年は、飽食の時代だったのでしょう。

もちろん今の日本も飽食の時代と言えますが、

貧困格差の広がる今、そう言ってもいられない時代に

突入していると思います。

そんないまだからこそ、改めて食べるということを

考えるのに、良い一冊になると思います。

マインド・コントロール/文藝春秋

¥1,296
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 みなさんこんばんは。

 最近チョコミントが好きになって来ました。管理人です。皆さんチョコミントって好きですか?私はどうもミント=歯磨きorガムのイメージが強くて、ミントを飲み込むっていう文化がなかったんですね。あれはお口をすっきりして吐き出すものだと長年思っていて、小さいころからチョコミントアイスなんて邪道だと思っていました。

 が、この歳になるとなんかさっぱりしたものが食べたくなるんですよ。でも甘いものも食べたい。その二つの欲望をかなえてくれるのがチョコミントなわけです。小さいころの習慣が欲望に負けた瞬間でした。

 さて、本日の本は岡田尊司さん『マインド・コントロール』です。

 私は昭和最後の生き残り世代なんですけども、いわゆるオウム真理教世代なんですよ。小学校のときに地下鉄サリン事件が起こって、カルト宗教って怖いなぁと身近に感じて育った世代です。オウム真理教の幹部には東大生のような高学歴な人たちがいて、「なんでこんな賢い人たちがこんな宗教にはまってしまうのだろうか……」と疑問に思ったものでした。この本は、これまでに古今東西で実際に行われてきたマインド・コントロールを分析し、その手法を具体的に解説している興味深い本です。

 マインド・コントロールの第一段階は『情報入力を制限、または過剰にする』こと。
 新興宗教って必ず閉鎖的な空間を作って、信者たちを外部と接触しないようにしますよね。それは外部から入ってくる価値観を一切遮断して不安にさせるためなんだそうです。不安定になった人間は、教祖様やメンターの繰り返し言うことにすがって、真実だと思い込もうとするんです。いい面では勉強の強化合宿なんかがあります。余計なものを排除することで、勉強内容が頭に入ってきやすくなるんですね。
 逆に情報の洪水にさらすことで、主体的な判断を鈍らせるという手法もあるようです。これは現代の情報過多になったわれわれの環境そのものだっていう作者さんの指摘にぞっとしました。私が最後に主体的にモノを判断したのっていつだろう……?

 第二段階は『脳を慢性疲労状態に置き、考える余力を奪う』こと。
 これは想像しやすいですよね。どんなに屈強な若者であっても、不眠不休・食べるものも与えられなければ意思を貫き通すことは難しいです。いわゆる拷問や押すだけの罵声なんかでは、人は逆にかたくなになって心を閉ざしてしまうようです。それよりは「いつ何をされるんだろう……」「どうして何もされないんだろう、この時間って意味があるのかなぁ」「この先どうなるんだろう……」という不安のほうが人を操りやすいのだそうです。なるほどなぁ。
 これは子供の教育にも応用できて、子供が「疲れた……」なんていっている状態では、主体的に○○しよう!なんていう考えには絶対にならないんですね。

 第三段階は『確信を持って救済や不朽の意味を約束する』
 上記のようなことをされてへとへとに疲れた体と心に、希望という名の種を植えるわけです。誰だってすがりますよ、ええ。

 第四段階は『人は自分を認めてくれた存在を裏切れない』
 DVをしてくる夫から逃げられないのは、たった一度ささやかれた愛情の言葉をいつまでも信じていたいという気持ちがあるからなのだそうです。つらい、別れてしまいたい。でもこの人と離れたら私を愛してくれる人はもういない。そんな気持ちがいつまでも別れられない原因になってしまうのだそう。


 ほかに興味を抱いたのはミルトン・エリクソンという天才精神科医のお話。
ダブルバインドという技法を聞いたことがあるでしょうか。何かをやってほしいとき、それをやるかやらないかではなく、やることを前提とした選択肢を用意して、質問するというやり方(以上引用)のこと。
 たとえば、子供に勉強させたい場合。オーソドックスに「勉強しなさい」なんて言っても素直にやってくれる子はいませんよね。でも「宿題、ママと一緒にやる?それとも、ひとりでやる?」のように、宿題をやることを前提とした選択肢を用意することで、「宿題をする」という関門を突破しやすくするのです。
 これは人の潜在意識に働きかけているのだそうです。時には理詰めに説得するよりも、相手の潜在意識をくすぐる言葉をかけてあげるのがいいのかもしれないですね。

 ほかにも実際にマインド・コントロールが起こした事件や、軍の研究報告など、興味深いお話がたくさん提示されています。自分が主体的に考えるということの難しさを感じました。