ロボット (岩波文庫)
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仕事が忙しすぎて心が死んでいます。管理人です。
平日はおろか休日さえも趣味の時間がとれず、発狂しかけたので、せめて通勤電車の中だけでも仕事以外の事をしようと読書習慣を再び始めました。
本日の本はチャペックの『ロボット』という戯曲です。今はもう普通に使われている「ロボット」という言葉は、この戯曲から生まれた言葉だそうです。
以下物語の結末に触れています。
物語はロッスムのユニバーサル・ロボット社というロボット会社社長のドミン、その奥様(恋人だっけか)のヘレナ、そして会社の役員達を中心に進みます。
ドミンという人は(ラテン語で『主』をあらわす名前だそうな)労働の奴隷と化した人間を解放するためにロボットを作りました。しかし、ロボットが新たな奴隷として働いている現状に心を痛めたヘレナはロボットに心を与えるよう社員にお願いします。
ロボットが人間の生活に及ぼした影響は、「女性が子どもを作るのをやめてしまった」というものです。これは少子高齢化が進む今の世界を本当に的確に予言しているなと思いました。労働力が確保できるなら、人は自分の人生を謳歌したいですよね。
しかし、人間の心を持ってしまったロボットは、人間に反旗を翻します。R.U.Rの社員達も全員殺されてしまいます。ただ一人残ったアルクビストという技師だけが、人間という種の滅びる様を見届けます。彼が見たのは、ロボット界のアダムとイブの誕生でした。ロボットという形となって、生命は続いて行くというお話でした。キリスト教的宗教観がよく理解できないので難しいのですが。この結末は神の愛によるものなんですね。人間という種は滅んでしまうけれども、人間は新たな生命を作り出して、その種の命は続いているという希望なのでしょうか。
今では珍しくもないロボットの反乱というSFですが、これが1920年の作品だという事を感じさせない面白さがありました。