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地底旅行 (岩波文庫)
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にっぱちとはよく言ったもので、八月になって仕事に余裕が出て来たので久しぶりに仕事に関係のない本を読みました。純粋に読書を楽しむのっていつぶりだろう。
本日の本はジュール・ヴェルヌの『地底旅行』です。ディズニー好きの人ならばセンター・オブ・ジ・アースというアトラクションをご存知かと思います。これは、あのアトラクションの原作になったお話なんですよ!
物語の語り部は、高名な地質学者であり古生物学者であるリーデンブロック教授を叔父にもつ青年 アクセル。リーデンブロックとアクセルは、偶然手に入れた稀覯本に挟まっていたメモに書かれた暗号を解く。その暗号は、錬金術師・アルネ・サクヌッセンムが残した、地球の中心へ向かう大発見を記したものだった。
かくして、二人とガイドのハンスはアイスランドの火山の火口から地中へと降り立ち、13週間にわたる地底旅行を開始する。
地底旅行というお話から、ずっと洞窟のような所を旅するお話かなと思っていたのですが、ジュール・ヴェルヌの発想力はそんなつまらない物語を許しません。
水を求めて瀕死のアクセルをかばうリーデンブロック教授の愛、どんな困難にも立ち向かう強さに思わず勇気づけられました。そうして乗り越えた洞窟の先には、なんと!空と海が広がっていました。超巨大洞窟のなかに広がる海と電気?磁気?によって発光する空の描写には思わず冒険心が踊ります。
そして、地底のなかで今なお生き続ける大昔の生き物たち。古生物学とか恐竜とかそういうものが好きな人にはたまらないシーンだと思います。1800年代後半は博物学、理科ブームの年ですから、民衆は喜んで読んだのだろうなぁと私も楽しくなりました。
長い長い旅を経て、物語の結末はどうなるんだろうと思っていたのですが、そこはジュール・ヴェルヌ。安心して終わらせてくれます。
彼の小説は何作か読みましたが、手に汗握る展開なのに不快なドキドキはないんですよね。いつも爽やかに終わってくれるので読後感が最高です。本作もとても良い作品でした。