エディ・デ・ウィンド (著), 塩崎香織 (翻訳)
著者は両親の代からオランダ在住のユダヤ人。ドイツのオランダ侵攻に伴い、42年、ウェステルボルク通過収容所に医師として志願した。当初は職員であれば他の収容所へは移送されないと保証されていたから。そこで看護婦として働く18歳のフリーデルに 出逢であ い、収容所内で結婚する。だが半年後、二人もアウシュヴィッツに移送されることになった。
この体験記の大きな特徴は、戦争が終結する前にアウシュヴィッツ内で書かれたものだということ。著者は自らの名をハンスとし、三人称で物語のように 綴つづ ることで、体験を少しでも客観視しようと努めている。次の特徴は、二人は収容所内でも交流の機会を持てていたということ。著者は何度も選抜を 潜くぐ り抜け、病棟勤務を勝ち取る。隣のブロックが女性抑留者棟でそこに彼女が収監されていた。女性抑留者たちは人種根絶のため不妊化の人体実験に 晒さら されている。日々募る彼女の恐怖。そんな彼女にわずかでも励ましを伝えることが、著者の生きる目的になる。体験の渦中にあるため、日々に臨場感がある。そして奇跡的に訪れる一瞬に心を震わせる二人の姿が胸に迫る。
ビルケナウも含むアウシュヴィッツ複合体の中では、著者は若さと医師という職業ゆえ生きる余地が与えられていた、最も幸運な抑留者のひとりだと言える。だからこそ「悲惨・残虐」のラベルで覆い目を背けたくなる収容所の日常を、より詳しく鮮明な解像度で描き出す。著者の体験は、人間は他者にどんなことを 為な し得るか、同時に、どれほど他者を想えるのか、普遍性を持って突きつける。決して遠い過去ではない。
収容所の体験がトラウマとなった二人はオランダで戦後直ぐに奇跡の再開をはたすが・・・・・。ふたりに幸せは訪れるのか?
アウシュヴィッツでは服に収容者の国別にマークが付けられていたオランダはH ユダヤ人は黄色い星マークだ
オランダ人はグープはアウシュヴィッツで少数派である。これが生き残りに幸運をもたらしたのかはわからない。
