2/3 いわき演劇まつり いわき総合高校演劇部『北校舎、はっぴーせっと』
原案:いわき総合高校演劇部 脚本・構成・演出:いしいみちこ
出演:長谷川洋子 吉田桃子 鈴木香澄 佐藤摩結子 吉田夏美 渡辺麻依 吉田 睦 小松 翔 飛知和寿輝
高橋なつみ 松澤和彦
ここ20年ロンドンのウエストエンド見た実験的なパンクな芝居やウクライナのキエフで見たひとり芝居など旅先で多くの芝居をみてきました。多くの芝居やロンドンやブロードウェイのミュージカルをみてもこれは凄いと言う芝居にはなかなか出会えるものではありません。
それがなんとなく入ったいわき演劇祭りで凄い芝居に出会って感動した。いわきに現在居られてこの芝居に出会ったことに感謝している。こいわきでしか発信することのできない演劇に出会って心が震えた。
芝居のタイトル「北校舎、はっぴーせっと」の北校舎は 東日本大震災の影響で解体・改築が決まっている。(3.11の後の余震によって地盤に亀裂が入ったために津波の影響がないのに立て替えることになったいわき市内の高校の唯一の建物)
北校舎壁面に、建物への感謝を込めて描いたはなむけの桜の絵画が満開に咲いている。 美術概論を選択している3年生を中心に24人が冬休み期間を利用して描いた。北校舎南側1階部分に4教室分30メートルにわたって8本の桜が並び、桜の花は手形を利用して描き上げた。西側壁面に描いた1本には「Many Thanks」と感謝の言葉を添えた。
北校舎は新年度から解体工事が始まる。
現在のいわき総合高等学校の高校三年生は、新入生だったときにこの北校舎で学んだ思い出の教室がある。
そこで解体工事が始まる前に、クラスの女子、洋子・桃子・香澄・摩結子・夏美・麻依・なつみは思い出の北校舎の教室へ向かう。
あの震災があって、地球が太陽の周りを一周と四分の一回って、アタシ達は・・・。(繰り返しのフレーズ)
春。満開の桜の花がティシュペーエーパーように咲いて・・・。(繰り返しのfレーズ)
「いてら(注・いってらっしゃいの意)」(繰り返しのフレーズ)を入れ替わり立ち替わりする 時間と場面が移動していく
同じ場面を、何度も何度も、フラッシュバックするように繰り返したり、時間軸が急に巻き戻ったり、かと思うと、先へ飛んだり。同じフレーズのセリフが、何度も何度も、舞台上で飛び交います。
時間が一年生の春、「ハッピーセット」みたいだといわれた仲良しの女子の仲間は夢は、大学に入って英語の先生なること。
時間が三年生の秋、津波で家を失って、父親が失業中の娘は、大学進学を諦めて、就職の道へと進路を変更する。
プレハブ校舎で学ぶ高校三年生。
津波と原発事故のために双葉地区の高校からいわき総合高校へ転向してきた女子高生は、仮設住宅に住む。他の女子がスマホで自分だけはパカパカ(携帯電話)。バイトに忙しく、新しい高校になじめない。
短い場面を、畳み掛けるように、区切られた空間の中で、繰り広げていく。
その中で語られる、震災への想い、原発事故への想い、思春期の想い。
震災の影響で、
取り壊されることになった北校舎。
そこへ忍び込む高校生たち。
その最中に、
各自の様々な思い出や、感情が、
閃光のように浮かんでは消え・・・
そんな作品に感じました。
「ハッピーセット」みたいだと
仲の良さを形容された、
北校舎のような亀裂が入り・・・転校、進路の変更。震災と原発事故で狂った歯車。人間関係は軋み、隙間風が吹く。親友が「すぐ隣にいるのにどんどん遠くに行っちゃう」。マーム的リフレインが、澱のようにたまった息苦しさを浮かび上がらせる
胸に迫るものがありました。
観ていて、
何度も泣きそうに…。
被災した彼らにしかできない舞台で、高校生にしかできない舞台で、立ち会えたのが「奇跡」と呼べる、そんな舞台でした。
そしてそれは、
プロがどんなに逆立ちしたって、
できない舞台なんです。
顧問の石井先生は指導で創作するときには、エチュードの短いシーンを作り重ね、ディスカッションしながら作品へと発展させていく集団創作ーディバイジングメソッドを使うという。石井が本を書くのではなく、生徒自身の言葉を使うことでナチュラルな高校生像を舞台に作り上げられるという。
今、進行中の社会的事件を扱うこと
今もなお解決の道筋が見えない福島第一原発事故。現在進行形の事件というデリケートな問題を扱うことの危険性について、石井教諭はその心配をするよりも、今、目の前にいる子どもたちを何とかしたい、という気持ちだと語る。子どもたちは「自分たちは福島以外の人と結婚も出来ないし、多分ガンになるんでしょ」という状況だったので、それを乗り切るために作品を作っていったという。(いしい先生のインタビューより)
彼女達だけが背負う“青春の残酷”だ。時間軸の解体とリフレインを多用し、一瞬の時間に閉じ込められた切なさの永久運動をあぶり出す演出がすばらしい。
これらの芝居は、リアルで残酷な青春をおくっている高校生だからすばらしい芝居ができたのだろう。(もちろん彼女や彼たちの芝居にかける情熱がこの芝居をさらに高めたのでしょう。)
できたら全国のツアーで回って欲しい芝居ですね。次の公演は
3/17(日) 第3回 芸術のミナト☆新潟演劇祭 高校演劇部公演
いわき総合高校演劇部「北校舎、はっぴーせっと」14:30~入場無料
あの震災があって、地球が太陽の周りを一周と四分の一回って、アタシは、アタシたちは…。
もしいける人がいたら是非見に行ってください。「いてら(いってらしゃいと言ういわき弁)」