アルゼンチン映画と本 オリンダのリストランテ《映画》とブエノスアイレス食堂《本》
オリンダのリストランテ《映画》
ブエノスアイレスの小さなリストランテを舞台に、女主人とドイツ人青年の出会いを通して、人生の意味を問うヒューマンドラマ
アルゼンチン、ブエノスアイレスの小さなリストランテ。イタリア移民の女主人オリンダ(リタ・コルテセ)は、女手ひとつで店を守り、毎日訪れる常連客たちに美味しい料理をふるまいながら忙しい毎日を送っていた。そんなある日、オリンダは昔の恋人を捜しているというドイツ人青年ピーター(アドリアン・ウィツケ)と出会う。毎日ブエノスアイレスの家を訪ね歩き、彼女を捜し続けるピーターをオリンダは無視できず、食事をふるまい、宿を与えるのだった。そうした日々が、いつしかオリンダの心に「自分の人生はこのままでいいのだろうか」と変化をもたらす。忘れていた故郷のこと、自分の夢、そしてこの店…。人生はまだ終わってはいない。そう決心したオリンダは、第2の人生に向かって動き出すのだった……。
イタリア移民の物語です。故郷に一度も帰ったことのないオリンダ。故郷に残した郷愁を探すたびに出かけるきっかけををドイツ人青年ピーターからもらいます。
ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス) [単行本]
カルロス バルマセーダ (著), 柳原 孝敦 (翻訳)
19世紀末にイタリアから移民としてやってきたルチアーノ・カリオストロとルドビーコ・カリオストロという双子の兄弟と、彼らがアルゼンチンのマル・デル・プラタという保養地にある「ブエノスアイレス食堂」の歴史のお話。
カリオストロ兄弟は料理人となり、さらにヨーロッパで料理修行をしたマッシモ・ロンブローソと知り合い、自らの料理を極めていきます。そしてつくられたのが伝説の料理書である『南海の料理指南書』。ここからブエノスアイレス食堂の伝説が始まります。
イタリアのムッソリーニ、アルゼンチンのフアン・ペロンとその妻エビータ、ドイツの敗戦と共に軍資金を持ってアルゼンチンに現れたUボート、軍事政権による社会主義への厳しい弾圧と、さまざまなアルゼンチンの歴史をなぞるように、ブエノスアイレス食堂の栄枯盛衰が語られます。もちろんブエノスアイレス食堂の経営者たちも歴史の波に飲み込まれていきます。
そしてその物語を彩るのがブエノスアイレス食堂で提供された数々の華麗な料理。<<舌平目のルチアーノ、オレンジとローズマリーのソース>>だとか<<伊勢海老のマリアネラ>>だとか<<ハチミツによる蜂の巣とフランボワーズ>>とか、なんだかわからないような、それでいて美味しそうな料理が次々と出てきます。
この小説は、いきなり生後7ヶ月の赤ん坊、セサル・ロンブローソによる人肉食が始まります。ブエノスアイレス食堂の誕生と歴史へと展開へ。おいしい料理とアルゼンチンの現代史の楽しんでいる間に最後に再びノワール的なお話に戻っていきます。
小説に出てくる料理
《ルドビーコ・ソース》がある。カリオストロ兄妹の傑作ソースだ。スモーク・サーモンと刻んだタマネギ、濃厚な生クリームにスジコを組み合わせたそのソースを、茹でたパスタにかけるのだ。
《バカラオ鱈のビスカヤ風》マッシモ・ロンブローソ作。胡椒をまぶしたバカラオ一切れ、短冊切りにしたタマネギ、ニンニクをひとかけ丸ごと、茹でて鉢で潰した卵の黄身、植物油で焼いて出たバカラオの焼き汁、これを弱火でとろとろと焼いていると、そのうち魚の切り身はシェフの腕前に音をあげて一丁あがりだ。
《舌平目のルチアーノ》オレンジとローズマリーのソース三枚におろして塩胡椒した舌平目をオリーブ油で焼き、すぐにフライパンでオレンジの果汁に漬け、焦げ目がつきそうになるまえ火にかける。ローズマリーの葉とひとつまみの黒胡椒を加え、それをサフランで色づけした白米とともに盛り付ける。
<<伊勢海老のマリアネラ>>だとか<<ハチミツによる蜂の巣とフランボワーズ>>とか、なんだかわからないような、それでいて美味しそうな料理が次々と出てきます。
小説を読みながらお腹をすかせてしまうこと間違いなしの本です。本も映画もイタリア移民の話から始まりますそして。料理もね。