今、上演することに意味がある件 | 笛吹きの備忘録

笛吹きの備忘録

おばあさんのモノワスレ対策ブログです。
アマチュア楽団でフルートを吹いています。
お芝居が大好き!

新国立劇場です。

元気なうちに、有名なオペラを観ておこうシリーズ第三弾!
『ウィリアム・テル』を観てきました。

第一弾の『リゴレット』
でも『ウィリアム・テル』は、スイスの伝説の偉人の物語だと知ってはいたけど、それがオペラになっているとは知りませんでした。
ロッシーニの🎵 タッタカ♪タッタカ♪タッタッターン🎵の行進曲も、オーケストラのために作曲された曲だと思っていて、幕が上がる前、序曲が始まって、この🎵タッタカ♪タッタカ♪が聞こえたとき、えっ!これって、このオペラの曲なの?とビックリしちゃいましたよー

今回も4階からの観賞です。
舞台は遥か彼方ですが、じゅうぶん楽しめますよ🎵

さて、『ウィリアム・テル』と言えば、息子の頭に載せたリンゴを、弓で射ったお父さんですよね。
その場面は第3幕にありました。
とても重要な場面で、圧政者と、自由を求める民衆とが対決するんです。
そう!『ウィリアム・テル』って、祖国を奪われ、為政者による弾圧に苦しむ民衆が、武器(鋤や鍬などの農具なのね)をとって蜂起、勝利するまでの壮大な物語なんです。

一途に父を信じる息子と、勇気ある父親との愛情物語は、その中のひとつのエピソードでしかありません…。

つまり、オペラ『ウィリアム・テル』の主人公は民衆なのですよ。


もちろんヒロインの皇女マティルド、
(オルガ・ペレチャッコさん)

その恋人アルノルドとギヨーム(ウィリアムのフランス語読み)
(ゲジム・ミシュケタ さんとルネ・バルベラさん)
が歌い上げるアリアは素晴らしかったです。
でもね、それ以上に、民衆の合唱が心に響きました。

抑圧される民衆は、圧政者からの理不尽な要求に誇りを踏みにじられ、その苦しみを歌い、絶望と諦めを歌い、そして沸き上がる怒りを歌います。
とにかく、合唱が素晴らしい!

もうひとつ、心にズシンときたのはバレエシーンです。
帝国軍に征服された土地では、平然と破壊、暴行、凌辱が行われます。それをバレエという美しい身体表現で観客に訴えるのです。
舞台は14世紀のスイスですが、この現実は、今も、ウクライナでガザ地区で起きていることです。
「踊り」はリアルな演技ではありませんが、加害者が、あるいは被害者が、動物の仮面をかぶることで、戦時下での暴力的行動の異常さが、より鮮明に表現されていて、胸を打たれました。

そして、最後に訪れる希望の光!
※舞台写真は新国立劇場HPからお借りしました。
全編が上演されるのは、日本では初めてなのだそうです。新国立劇場! そして芸術監督の大野和士さん! あっぱれ!

さて、そのあと…
私、バック・ステージ・ツアーの抽選に当選して、新国立劇場の舞台に立ちました♪♪♪♪♪

オマケ…。
舞台に傷をつけないようにツアー参加者には靴カバーが配布されます。
刑事ドラマの臨場シーンみたいで、ちょっと興奮しました。