オペラを観るシリーズ始めました。 | 笛吹きの備忘録

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おばあさんのモノワスレ対策ブログです。
アマチュア楽団でフルートを吹いています。
お芝居が大好き!

新国立劇場でオペラ『トスカ』を観てきました。

 
高嶺の花と思っていたオペラですが、残りの人生、そんなに長くはないのだからと、思い切って出掛けたのが1年前の『リゴレット』です。
その時に書いたブログがこれ⤵️

 そして「死ぬまでに有名なオペラを全て観よう!」と決めた2回目が今回です。

1年に1作品ってペースかな…、ということは、いくつ観られるんだろ?


さて、プッチーニの『トスカ』は、タイトルを聞いたことはあるけれど、内容は全く知りませんでした。
 事前勉強で、トスカはヒロインの名前と知ってホォー!と声が出ちゃいましたよ。
そして、有名なアリア「歌に生き 愛に生き」が、恋人を想う歌ではなくて、神から与えられた歌の才能をみがき、神の教えを守り、隣人愛に生きてきたという、熱い信仰告白の歌だと知って、さらにホオオー🎵
72年も生きてきたのに、知らないことだらけです。
 
今回も4階のC席でした。
こんな天井桟敷ですが、高齢者割引でも9350円もするんです。
しかし! なるほど、お金かけてるなー お高いのも納得だなーの舞台でしたよ。
1幕目の聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会の舞台セットが⤵️これですもの。豪華!
出演者だって、あとから、あとから、ゾロゾロと登場してきて、広い舞台にギッシリ!
このミサの場面だけのために、聖歌隊や、修道士たち、修道女たち、そして一般信徒たちが、きちんと衣装を着けて、聖堂に入るとき聖水を額に付けて祈るなど、それぞれが細かい演技をしながら登場するのです。
映画なら、地元エキストラをお弁当と記念品のみ支給で募集するような、そんな「その他おおぜい」たちなのに、舞台の皆さんは歌のプロたちですよ。
そのプロたちが歌う聖歌「テ・デウム」の、深いところから沸き起こるような大合唱には心がふるえました。
 
もうひとつ、主人公トスカの壮絶な「選択」にも驚きましたね。流されるのではなく、自分で決めて行動する女なのです。
 
歌手として名声を得ているトスカには、カヴァラドッシという画家で反政府主義者の恋人がいます。
彼が、脱獄した政治犯をかくまっているのを、浮気だと誤解したトスカは、嫉妬のあまり、警視総監スカルピアの策略にのせられ隠れ家をバラしちゃいます。
その結果、カヴァラドッシは捕まり、銃殺刑に処せられることに!
好色なスカルピアは処刑の回避を条件に、トスカに関係を迫ります。するとトスカは、処刑の回避だけでなく、国外への通行許可証も出してくれるなら抱かれてあげるわと、条件上乗せ交渉をするのですよ。なんて、したたか!
そしてトスカは、ウハウハ喜んでるスカルピアを、ナイフで刺し殺すのです!
ここで第2幕が終わります。息をもつかせぬ展開でしょ。

終幕では、二人仲良く国外逃亡できてハッピーエンド…なわけはなくて、カヴァラドッシは銃殺されてしまいます。処刑の回避なんてスカルピアの大嘘だったのね。
そこまでは見抜けなかったトスカは「おースカルピア! 神の御前で」と叫んで(歌ってましたが)飛び降り自殺をします。
自分の罪を全て認め、神の御前で裁かれる覚悟もしてるけど「スカルピア!あんたも一緒に裁かれるのよ!」と、トスカは「死」も強い意思で選択するのです。

この凄惨な事件が、プッチーニの甘い旋律で歌われ語られ、オーケストラは緩急自在に物語を立ち上がらせます。
オペラって、すごいです。

※舞台写真は新国立劇場のHPから拝借しました。