東京芸術劇場です。
2階のプレイハウスで…、
三谷幸喜 作・演出の『オデッサ』を観てきました。
演者は、柿沢勇人、宮沢エマ、迫田孝也の三人です。
『鎌倉殿の十三人』での、源実朝(頼朝の次男)、実衣(政子の妹)、源範頼(頼朝の弟)ですね。
鹿児島出身の男優(迫田さん)とバイリンガルの女優(エマちゃん)で、なんか面白い芝居が出来そうって、ひらめいた三谷幸喜さんは、そこに、言葉に真実味のないミュージカル(※個人の偏見です)の俳優さんを絡ませてみたらって、あの太い眉毛の奥の奥でお話をどんどん作られたのでしょうね。
1999年、テキサス州のオデッサという町で、殺人事件が起きます。重要参考人として取り調べられるのは、英語の話せない鹿児島県人(迫田さん)なのです。
ワケあり旅行者なのですが、なぜ観光地でもないオデッサに来たかというと、
オデッサが、鹿児島弁のダンナさんという呼びかけの「おてっさぁ」に似てるから…?
この辺りから三谷ワールドにズルズルと引き込まれていきまする。
取り調べる警部(エマちゃん)は日系人だけど日本語が分からない。
通訳を頼まれたのは、偶然にも鹿児島出身の留学生(柿沢くん)という設定です。
なので、舞台では英語と鹿児島弁が複雑に行き交います。
でも、ご安心を…、背景に字幕が!
そして警部と留学生二人だけのときは、英語を話してる設定で、実際は日本語の台詞が話され、留学生と重要参考人二人だけのときは、鹿児島弁で会話され、三人がそろうと英語と字幕と鹿児島弁と!!!!
はい、とってもヤヤコシイ!!!!
でも、この字幕の出るタイミングが素晴らしいのですよ。
お芝居はテンポよく、ぐいぐい進み、二転三転して、最後には、まさにオチもあって、洗練された言葉の洪水に溺れそうになりながら、真実を掴もうと必死にくらい付いていく観客席なのでした。
言葉が通じなければ、真実は伝えられないのか?
言葉が分かれば、真実を知ることができるのか?
真実を伝えるのは、果たして言葉なのだろうか?
さまざまな疑問が浮かびあがります。
しかし、理解し合うためには、言葉に頼らざるを得ないのも真実…。
そう! このお芝居の主役は「言語」なのです。
三谷ワールド、面白くて深いぞ!