昨日、国立劇場で『歌舞伎&落語コラボ忠臣蔵』を観て来ました。
春風亭小朝さんが落語『殿中でござる』と『中村仲蔵』の二席を噺し、その後、歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』の五段目と六段目を、中村芝翫さんの早野勘平で上演する、というコラボレーションなのです。
歌舞伎をよくご存じの方なら、なるほど、コラボね!と思われるでしょうが、知らない方には、どこがコラボしてるの???ですよね。
NHK-BS1のドラマ『中村仲蔵出世階段(しゅっせのきざはし)』を覚えてますか?
このドラマで藤原竜也さんが演じた「謎の侍」を思い出したら、コラボの謎もすぐに解けまする!
雨に降られてビショビショの侍が蕎麦屋に入ってくる場面です。
中村仲蔵は江戸中期の歌舞伎役者ですが、歌舞伎の家の御曹司ではなくて、一般人の子どもで才能を認められて、役者の世界に入ってきた人なんです。
だから、当然、辛い下積み時代があるのね。
役にも恵まれない…。
…で、仮名手本忠臣蔵の五段目に登場して、すぐに死んでしまう斧定九郎(おのさだくろう)って役がついたときに、そのチョイ役に自分ですっごく魅力的な演出をほどこして、一躍!人気者になるというエピソードがあるのですよ。
そのヒントになったのが、藤原竜也さん演じる「謎の侍」で、むちゃくちゃカッコ良かった!
もう一度、見たい方、残念ながら見てなかった方!
ダイジョブよ!
再放送が今年の12月にあるのです!
…というわけで、その蕎麦屋の場面を小朝さんが落語『中村仲蔵』で語ります。
そして、あとの歌舞伎に中村歌六さん演じる斧定九郎が登場して、仲蔵が工夫を凝らした役作りそのままに、敗れ傘をさして、黒羽二重の単衣に白献上の帯で、ビショビショの袂を絞ったり、口から鮮血を垂らしたりするのです。
それが、コ・ラ・ボ♪
昨日の国立劇場は、高校生の団体鑑賞があって、とても賑やかでしたが、皆さん「あぁ~、これね♪」と理解してくれたかしら…。
中村仲蔵はいつ出てくるの? なんて思ってないかと、ちょっと心配…。
仲蔵が役作りのヒントをもらうのが、雨宿りで立ち寄ったお蕎麦屋さんなので、国立劇場併設レストラン「十八番」では、仲蔵蕎麦を提供してるのです。これもコラボね!
江戸時代には下っ端役者のことを「稲荷町」と言ったそうで、稲荷揚げのトッピング♪
定九郎の衣装の黒羽二重にちなんで、真っ黒の焼き海苔がお蕎麦の上に敷き詰められてました。
そして肝心要の『仮名手本忠臣蔵』五・六段目です。
主人公は早野勘平!
中村芝翫さんって、勘平にはたくまし過ぎないかと思ってましたが、意外とやさしい佇まいでした。
そして、姑おかや役の梅花さんとのやりとりが、ストレートプレイみたいに細やかでリアルで、ときどきカァーっ!てのが入って、そうそう、これ、歌舞伎だったんだと思うぐらい…。
おかる役の市川笑也さんがとっても可愛いかったです。可憐という感じ…。
でも、勘平と駆け落ちした女房なんだし、もうちょっと存在感あってもいいんじゃないのかと残念、すぐ退場しちゃったし…、もっと見ていたかった…。
この早野勘平は、歴史上は萱野三平という名前です。昔のドラマ(50年くらい前の『大忠臣蔵』)では、石坂浩二さんが演じてましたよ。
その萱野三平さんのお屋敷が、大阪の箕面市にあります。
私、60年前に萱野三平宅を社会科見学しましたよ。その頃、箕面市内の小学校では定番の行事でした。
そして、親孝行とお殿様への忠義の板挟みで切腹した!とか、討ち入りには参加しなかったけど四十七士に加えられてる!とかを知ってる小学生でした。
今は、忠臣蔵なんて、学校で教えないですよね。