母は、もう介護はこりごりとは思ってないらしい件 | 笛吹きの備忘録

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おばあさんのモノワスレ対策ブログです。
アマチュア楽団でフルートを吹いています。
お芝居が大好き!

母が入所している老人ホームから、月に一度、写真入りの報告書が届きます。

まずは健康状態、そしてホームでの暮らしぶり、食事の好き嫌いや、行事参加とか、不参加とか…、ワガママに暮らしてる様子が綴られています。

先月は『日本昔ばなし』(マンガ?)に興味があって、熱心に読んでいる、と書いてあったので、それならと、絵本『うらしまたろう』と『かぐやひめ』を送ってみました。


そしたら、お礼状が返ってきましたよ♪


それで思い出したのです。
父の書いた手紙を…。
父は二十数年前、脳梗塞で右半身付随と失語症になりました。
リハビリも兼ねて、ワープロ(当時はまだワープロ全盛だったのですよ)を使い始めたと聞いて、やはり当時、売り出されたばかりの低反発ウレタンクッションを送ったときのお礼状です。

父の失語は、言葉が出てこない、字が読めない、読めても意味が分からないという、かなり重い症状でした。
幼児向けの「あいうえおドリル」から始めたリハビリで、ようやく、ここまで回復できたのですよ。

この返事に添えられていた母の手紙です。
このときの父は、リハビリの効果に期待を持てる状態でした。
しかし、言葉も運動機能も、ここを頂点にだんだんと下り坂をたどり、母は、9年間、父を自宅介護し、看取りました。
認知機能に問題のなかった父にとって、思うように喋れない、動けないことは受け入れがたく、そのイライラを母にぶつけ、負けてない母がヒステリックに言い返すという凄絶な介護の日々が続きました。
兄も私も、打開策にデイサービスやショートステイを勧めたのですが、母は断固!拒否!
「そんなん、パパがかわいそうや」と言って…。

今、母は父のことをほとんど語りません。
私が「パパは?」と聞くと、「どこに行ったんやろ? まだ帰ってないんよ」と答えます。
そして、家に帰りたがるのですが、それは父と暮らした家ではなく、六甲のおばあちゃんの家(自分の実家)なのです。
「六甲のおばあちゃんの世話をせんとアカンのよ」と…。