和装コートでも、駆け落ちでも、心中でもない「道行」の件 | 笛吹きの備忘録

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おばあさんのモノワスレ対策ブログです。
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今日は金曜日です。

四旬節に入ったカトリック教会では、毎週、金曜日に「十字架の道行」をします。


「道行」って、歌舞伎では恋仲の二人が旅をすることですよね。
カトリック教会で行われている「十字架の道行」は、恋の逃避行ではなくて、イエスの受難をたどる儀式です。
ちなみに英語では「Stations of the Cross」と言うのですが、それを「十字架の道行」と和訳した方、尊敬しちゃいます、ス・テ・キ!

教会を訪ねると、お聖堂の壁にぐるりと聖画かレリーフが飾ってあることに気付かれると思います。
カトリック所沢教会にあるのは、安藤眞樹氏が制作したレリーフです。
これを「留(りゅう)」と言います。
「1留」から「14留」まであって、イエスがピラトから死刑の宣告を受けて、十字架を担いでゴルゴダの丘を登っていき、処刑されるまでのエピソードが描かれています。

これは8番目の「留」で、イエスがエルサレムの婦人たちを慰めている場面です。
群衆はイエスを罵っているのですか、中に泣きながらイエスさまについてくる女性たちがいたのですよ。今風に言えばオシ…? オッカケ…?
イエスは「私のことで泣いてないで、自分と自分の子どもたちのことで泣きなさい」と言うのね。
オシにこんなこと言われて、キャーッ!うれしい~って思う話ではありませぬ。
自分の姿をよく見つめなさいってことなんですよ。なぜイエスが無実の罪で処刑されるのか、そこまで追い込んだ群衆の一人である自分の姿を、ね。

道行は、「1留」の死刑を宣告される場面から始めて、それぞれの「留」の前で立ち止まり、祈ります。
祈りの言葉は、最初の写真にあるミニブックに書いてあります。集まった人たちで、読む順番を決めてスタート!
今日、私は「4留」のイエスがマリアに出会う場面の担当になりました。
「イエスに向けられた人々のあざけりと憎しみを、マリアも受けます。神の子の母が今、大罪人の母として辱めにさらされています。母マリアはわが子の苦難を受けとめ、「おことばどうり、なりますように」と神のみ手にすべてをゆだねました」
好きな場面なので、ちょっとうれしかった…。

「11留」では、イエスが十字架につけられます。

そして「12留」で、息をひきとります。

「13留」で十字架からおろされ、「14留」で墓に葬られて、道行は終わり、祭壇の前に戻ります。
イエスが亡くなったので、祭壇には何もありません、さびしい…。
でもね、受難の道を聖書の言葉と一緒にたどることで、神の愛に包まれているような、あたたかい気持ちになるのですよ。

イエスと一緒に、二人で、愛の成就を信じて歩く…、確かに「道行」だわ。


※4月1日ですが、ウソではありません。