国立劇場で「近江源氏先陣館ー盛綱陣屋ー」を観てきました。
菊之助さんです。凛々しいです。
品もありました。うっとり…。
今月は本編の前に、歌舞伎名作入門と題して、中村萬太郎さんによる解説がありました。
いきなり!キッコッコッキッキッコッコッ♪と三浦文彰さんのヴァイオリンソロが聴こえてきて、プチびっくり!
何故、大河ドラマ『真田丸』のオープニング曲が流れるかというと…、この近江源氏という歌舞伎が、徳川と豊臣に分かれて戦った真田兄弟を描いているからなんです。
でもね、江戸時代の上演(1769年初演)なので、設定を鎌倉時代に変えてます。江戸時代には徳川を描くことがご法度だったそうなんです。
それで、近江源氏の佐々木盛綱、高綱兄弟が鎌倉方と京方に分かれて戦う、という設定に変えたと、萬太郎さんが口跡鮮やかに、人物相関図を語ってくれて予習完璧!
サムライの忠義と、家族を思う気持ちが交錯する物語をじっくり味わいましたよ。
一番の感動は、父親を庇って自害する小四郎役の丑之助くん(菊之助さんのご子息ね)が、一本調子の子役台詞じゃなくて、声音を使い分けていたことです。
昨年11月に亡くなられたおじいちゃん(中村吉右衛門さんね)も、台詞の心を大切にされてましたよね。
この小四郎の祖母、微妙(ビミョーではなく、みみょう)が、なかなかツライ立場のおばあちゃんなのですよ。
長男(盛綱)から、人質にとってる次男(高綱)の息子(小四郎)を自害させてくれと懇願されるのね。「そんなこと自分でなんとかしなさいよ」とは言いませぬ。サムライの家ですからね…。
そして、おばあちゃん(微妙)は孫(小四郎)に、「父のために自害せよ」と説得するのです。
これって、今なら、虐待を躾だと言い逃れる親…?
観客にそういう雑念を抱かせないために、説得力のある巧みな心理描写が必要な役なんですよね。
上村吉弥さん、ちょっと物足りなかった…。
ランチは、無料休憩所でパンとミルクティー♪