渋谷PARCO劇場で『海王星』を観てきました。
寺山修司が58年前に書いた未上演の音楽劇を、新進気鋭のクリエーターと、若いキャストで甦らせた作品です。
寺山修司は1983年、48歳で亡くなっています。
出演者のほとんどは、そのあとに生まれているのかも…。
そのせいか、何だかサッパリした感じでしたね。

私にとって、'60年後半から'70年にかけて、寺山修司の『書を捨てよ、町へ出よう』や『家出のすすめ』との出会いは衝撃でした。
10代後半の多感な時期でしたからね。
でも、親を切り捨てるほどの情熱も勇気もなく、漠然と、家からできるだけ遠くに行きたいな~と思ってたら、結婚して埼玉県に来てしまいました…。(私、神戸生まれ、大阪育ち、学校は京都の、純関西人だったのです)
そして20年後の1995年、渋谷コクーンで観た蜷川幸雄演出の『身毒丸』も衝撃でした。
白石加代子さん演じる撫子の「できることなら、わが子身毒丸をもう一度、腹のなかに戻したい」というセリフ!沁みました!
その頃、子どもたちは巣立ちのときを迎えていたのね。つまり、切り捨てられるほうの親になっていたのですよ。
そして、さらに26年が経ちました。
巣立った子どもたちが、それぞれ築いた家庭では、思春期にさしかかった孫たちの造反があるような、ないような…、でも、おばあさんには、もう関係ありませぬ。
だから、この、親子にまつわる祝祭劇には、いまひとつ入り込めなかったのかもしれません。