賓頭盧さんの話 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

お坊さんになる前に各地の伝説地を巡っていて、大阪交野の獅子窟寺というお寺の「びんずるさんの雨乞い」伝説なるものを聞いて、「びんずるさん」とは変わった名前だなあと思ったものだ。

 

さて、賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)とは仏弟子ピンドーラ・バーラドヴァージャの音写であり、水野弘元著「釈尊の生涯」(春秋社)250頁によれば、コーサンビー国のウデーナ(優填)王の臣下でありながらブッダに帰依して出家し、阿羅漢果の悟りを得て、優れた神通力を発揮したという。ちなみに「尊者」とは、主に仏弟子や阿羅漢に対する尊称だ。

 

賓頭盧さんは十大弟子の中には含まれていないけれど、十六羅漢の一人であり、ということは中国仏教以降、特に重要視されたのかも知れず、ご自身で説法をなさったり、神通力を発揮したその経歴から、日本では本尊を祀る本堂の前に鎮座する形の撫で仏信仰を生んだのかも知れない。

 

※テーラガーター(長老偈経)123句、124句(岩波文庫版「仏弟子の告白」45ー46頁)にピンドーラ・バーラドヴァージャ長老の言葉が載っています。

 

 

 

                   おしまい。

 

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