生まれたばかりのブッダが唱えたとされる「天上天下唯我独尊」という言葉は、「てんじょうてんげ」とも「てんじょうてんが」とも読まれるが、仏教辞書の見出しでは「てんげ」となっている。
出典は玄奘三蔵の「大唐西域記」らしいが、ブッダが口にしたとするにはこの言葉が傲慢不遜な感じがするのか、これは個人の命の尊さを表している言葉だといった、少々強引な解釈をされる方が多いようだ。
私が思うに、「スッタニパータ」(岩波文庫「ブッダのことば」)に見える「これは無上の方です。人間のうちで最上の人です」というブッダの誕生時にアシタ仙人が語った言葉や、水野弘元著「釈尊の生涯」にも説かれている説だが、「ウダーナヴァルガ」(岩波文庫「感興のことば」)などにも出て来る、ブッダが成道直後に出会った異教のウパカという人物に語った、「私の悟った法はこの上もなく優れていて唯一無二だ」という意味の言葉が元になって、このような伝承が出来たのではなかろうか。
今日4月8日は大乗仏教の仏誕会です。
おしまい。
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