
突然に機縁が生じ、修行時代を共にした同期のお坊さんが住職を務めておられる、高知のお寺を訪ねさせて頂くことと相成った。
このご住職に出会うよりも以前に、歩き遍路で四国を托鉢行脚したことがあったのだが、それ以来、初めて高知を訪れさせて頂くことになって今回地図を見てみたら、遍路道はご住職のお寺のすぐそばを通っていたことに気が付いた。
さらに思い返せば、子供の頃の私は一度だけ高知に旅行に来たことがあって、バスの中からはりまや橋を見た記憶があるのだが、お寺とは何の関係もない家で育った私にとって、お坊さんというものに馴染みはなく、またお坊さんがかんざしを買って咎められる意味もよく分からずにいたが、ただ、それでも尚、その橋と、その時に車内に流れていたよさこい節の物悲しい調べだけは、記憶の片隅に残っていた。
そしてまた長じては、在家の出でありながら発心して出家させて頂くことになり、お坊さんになってタイで修行もさせて頂き、文字通り女性に指一本さえ触れてはならぬ、テーラワーダ仏教の戒律も勉強し、その後には四国を歩いたり、或いは新たな修行の場で、高知出身のご住職との法縁も頂いた。
そして今回は、一度訪ねてみたかった、そのご住職のお寺を初めてお参りさせて頂いたのだが、お寺の裏から見下ろした風景はさながらインドの霊鷲山のようで、境内も整えられていて美しく、師の唯一無二なお人柄に接しながらの参拝が楽しかったのは勿論のこと、出会う先々の高知の人たちや高知の風土もまた素晴らしく、生姜畑にオクラ畑、本州とは全く違う自然環境に、私はとてもアジアを感じた。
子どもの頃にバスの中からはりまや橋を見た時には、自分がお坊さんになるなんて夢にも思っていなかったけれど、今こうしてお坊さんになって修行させて頂いているこの仏縁を、本当に心から有り難く思う。
ご住職、この度は有難うございました。
合掌
※そんなあれこれを思い出したこともあり、このついでにと、かんざしを買ったお坊さんの住坊があったという、四国札所の一つである五台山竹林寺や、はりまや橋も再訪してみました。
因みに上の画像も竹林寺さんの参道です。
下の画像は竹林寺羊羹。

こちらは高知空港のお遍路さん用更衣室。
タイの空港の僧侶専用待合室や台湾の空港の祈祷室を思い出しました。

台湾の空港の祈祷室については、「ホームページアジアのお坊さん本編 アジアの坐蒲」をご参照ください。

おしまい。