成道会ブッダ随想 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

12月8日はお釈迦さまが悟りを開かれたことを記念する成道会なので、今日はブッダや仏像にちなんだお話のあれこれを。


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・ブッダは今から2500年ほど前に菩提樹の下で坐禅して悟りを開いた。今、インドのその場所はブッダガヤという地名になり、高さ52メートルの大塔が建ち、日本寺を含む各国寺院が周囲を取り巻く。
また、ブッダが悟りを開いた時に座っていた場所は、3代目の菩提樹の下に「金剛宝座」として祀られている。

              
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・上の画像はブッダが坐禅している像だが、坐禅以外の坐法であっても坐っている仏像は「坐像」と表現する。
先日、あるお坊さんに「坐像」と「座像」の2種類の字がインターネットの変換候補に出るのですが、意味の違いは何ですかと聞かれた。
お坊さんでもご存じない方がいるくらいだから、両者が混在しているのもやむを得ないが、「坐」というのは「坐る」という意味だから、坐っている像を表すのは「坐像」でないとおかしい。
「坐禅」についても、「座禅」という表記は、本来、間違いだと思う。
「座」というのは坐る場所のことだから、先ほどの金剛宝座の場合は「座」が正解だ。

・ブッダガヤの菩提樹の葉っぱを加工したものが、お土産品として現地で売られている。
これを買ったことのあるお坊さん、もらったことのあるお坊さん、インド事情に詳しくて、これをたくさん仕入れて、日本で配ったことのあるお坊さんなどはたくさんおられると思うが、ブッダガヤ日本寺駐在同期のH師は、葉っぱの葉脈をきれいに残すこの加工を、実際に自分で行ってみたそうだ。
こんなことを思いついたお坊さんは多分、日本には他におられないだろうと思う。
詳しくは師のブログ「菩提樹の葉 葉脈加工」を是非ご覧ください。


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・ブッダの十大弟子の一人、羅睺羅(らごら)の像には、羅睺羅が胸を割り開いて中の仏の顔を見せている型がある。
詰問された羅睺羅が胸の内の誠意を見せる、という伝承にちなむものではあるが、胸を開くモチーフの像は仏教以外にも、インド神話のラーマーヤナにおける猿神王ハヌマンの伝承がある。
ラーマとシータへの忠誠を証明するために、ハヌマーンが胸を開いている絵柄が下の画像。


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ちなみに「胸を開いている画像」とは言えないかも知れないが、キリスト教におけるフランシスコ・ザビエルの肖像も神への信心の昂まりを赤い心臓で表しているから、このモチーフの基になっている心性は、世界中の人類に共通しているのかも知れない。


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                            おしまい。



※ハヌマンの画像上は「インドの神々」(創元社)、画像下は「インド神話の謎」(学研)からお借りしました。
謹んでお礼申し上げます。
                           合掌