酉年に因んでインドの鶏足山の話 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

仏陀が悟りを開いたインドの聖地ブッダガヤからおよそ40キロメートルの場所に、ブッダの直弟子・ 摩訶迦葉(まかかしょう)が入定したと言われる、鶏足山(けいそくざん・グルパ・ギリ)がある。インドの霊鷲山、象頭山などと同じく、山の形状から付いた名前だ。

さて、56億7千万年の未来に弥勒菩薩がこの世に出現する日まで、摩訶迦葉がこの山でブッダの遺品を預かって待っているという伝説があるのだが、韓国の通度寺(トンドサ)にある摩訶迦葉の奉鉢塔は、この伝説にちなんだものだ。

星野之宣氏の漫画「宗像教授異考録」の中の「大天竺鶏足記」という短編は、この鶏足山を舞台にしていて、摩訶迦葉も話の中に登場する。

また、その漫画では触れられていないが、大本教の出口王仁三郎が自身を弥勒菩薩になぞらえるのにあたって影響を受けた神道霊学者の大石凝真須美(おおいしごりますみ)はその著作の中で、鶏足山の出て来る弥勒菩薩下生経について触れている。

また、鶏足山と弥勒菩薩の伝説については、南方熊楠の「十二支考」の「鶏に関する伝説」にも詳しい記述がある。

インド専門の日本の旅行会社の中には、ブッダガヤから鶏足山へ行く日帰りツアーを行っている所もあるが、ブッダガヤからは比較的、手軽に行ける前正覚山などと比べると、一般の旅行者にはちょっと訪れにくい仏跡が、この鶏足山だ。


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