アルバニアの天台声明 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

映画「エクソシスト」の原作者であるW.P.ブラッティが2012年に発表した「ディミター」(創元推理文庫)という小説は、アルバニアとエルサレムが舞台だ。
 
1970年頃、世界で初めて無神国家であることを公式に謳った東欧のアルバニアを舞台に幕が開き、第二部では「神」とは切っても切れぬ関係の、至高の聖地エルサレムで、不可解な事件が続く。錯綜する謎に重層的な物語、けれど必ずしも難解ではない、息も継がせぬ物語と文章のうまさ。思想と物語とストーリーテリングが絡み合って一気に読ませる「エクソシスト」発表から40年たったこの「ディミター」においても、作者の腕はいささかも衰えていない。

さて、そのアルバニアだが、1990年頃には鎖国も解除、各宗教も復活を遂げたということで、昨年(2015年)の9月には、アルバニアの首都ティラナにおいて「世界宗教者平和の祈りの集い」が開催されたことが、「比叡山時報」に載っていた。

世界諸宗教の代表が集まる中、仏教の法要は天台宗の一行が勤め、その中で天台声明も唱えられたということなのだが、かつて歴史上で唯一、「宗教活動を認めなかった」のではなく、「神の存在を認めなかった」国家体制を有していたアルバニアという国で、一神教のキリスト教やイスラム教の代表者と共に、「仏教」の法要が厳修されたことの意義は、天台宗自身の僧侶も含めて、仏教者の側から、もっと深く思索されても良いテーマではないかと私は思う。



ホームページ「アジアのお坊さん」本編も是非ご覧ください!!  

※お知らせ※
タイの高僧プッタタート比丘の著作の
三橋ヴィプラティッサ比丘による日本語訳CD、
アーナパーナサティ瞑想坐禅16ステップの詳細な解説書である「観息正念」、
並びに仏教の要諦の解説書「仏教人生読本」を入手ご希望の方は
タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい。