タイの首都バンコクのヤワラート(中華街)の外れにあるワット・トライミット寺院のお坊さんが、ある国際的なスポーツ・チームに同行して、イギリスでの試合に際し、選手たちにお加持(ナム・モン นํ้ามนต์:聖水を振り掛けるタイ仏教の行事)を授けたということがニュースになっていた。
私がタイでテーラワーダ修行させて頂いた当初、お寺の日課の自由時間を利用して、先ずは日本のガイドブックに載っているバンコクのお寺を、一つずつ巡ったものだ。
まだタイでの生活に慣れていない頃で全てが珍しく、それぞれのお寺を訪ねる度に一々、今でも思い出すようなことがあって、例えば仏舎利塔の丘があるワット・サケット寺院では、まだ私がタイでの得度式を終えておらず、その時、日本のお坊さん姿だったにも関わらず、拝観料は要らないと、職員の方に言ってもらったこと。
大理石寺院として知られるワット・ベンチャマボピットの僧坊区域に紛れ込んだら、石段に坐っていた老僧にどこから来たのかとタイ語で聞かれ、日本からですと答えると、大変に驚かれ、そして喜んでもらえたこと。
黄金仏を祀ることで知られるワット・トライミット寺院では、団体旅行者を引き連れた日本人のガイドに、ほら、ご覧ください、あんな風に他のお寺のお坊さんもお参りに来ておられます、ここはとても有名なお寺なのです、などと解説のネタにされ、黄衣を着ていると日本人に見られないんだということに、初めて気づいたこと、などなど。
そんなあれこれを、この度のワット・トライミットのニュースを見て、一瞬に懐かしく思い出した。
ちなみに、ナム・モンに関しては以前にも書かせて頂いたことがあるけれど、これはボウルに入った水を、茶筅のような形の道具で信者に振り掛ける儀礼で、日本語の本ではたいてい聖水と訳されている。
真鍮の容器に入った水をお加持して、散杖(さんじょう)と呼ばれる木の棒で振りまく、日本の密教における洒水(しゃすい)の作法ともよく似ているが、ナム・モンの方は水の振り掛け方がもっと豪快で、きっとこれは水が掛かってもすぐに乾く、熱帯の国だからなのだろうと思う。
※ホームページ「アジアのお坊さん」本編も是非ご覧ください!!
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