野崎詣りの思い出 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

古い歌に詳しい方に、東海林太郎の歌と言えば、何をご存知ですかと聞かれたので、「野崎小唄」くらいですと答えたら、唯一知っているのがその歌とは変わっていますねみたいな反応をされたのだが、私は元々、古い歌に詳しくなくて、ただ、昔、お坊さんになる前に、大阪の霊場や伝説ゆかりの地を訪ね歩いていたので、野崎詣りで有名な野崎観音(慈眼寺・大阪府大東市)に関係のあるこの歌を知っていた、というだけのことなのだが。

お染久松で有名な野崎観音は、上方落語の「野崎詣り」でもまた知られているが、境内には江口の君の塚がある。江口の君は淀川のほとりにあった江口の里の遊女で、西行法師と歌のやり取りをしたことで知られており、大阪市東淀川区には江口の君堂(寂光寺)というお寺もある。

私が大阪の伝説ゆかりの地を巡り出した、その一番最初に訪れたのが江口の君堂で、江口の君が白象に乗った普賢菩薩と化して空に消える謡曲「江口」を紹介した詳しい冊子を、その時、庵主さんから頂いた。

大阪の昔話のお土産用豆本を作れないかなあなどと、その頃に空想し、それからまた色々なお寺や神社を訪ねる中で野崎観音をお参りした時に、思いもかけず江口の君塚に出くわしたので、どうか何事も上手く運びますようにとお願いしたものだ。

結果、紆余曲折を経て、昔話の本を作るのではなく、実際に昔話のような世界に住みたい、西行法師のような旅のお坊さんになりたいと思って私は出家したのだということを、「東海林太郎」からの連想で、色々と思い出した次第です。

                   
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                         おしまい。


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