光永圓道大阿闍梨「千日回峰行を生きる」のこと | アジアのお坊さん 番外編

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比叡山の千日回峰行者・光永圓道大阿闍梨の初の著作が刊行された。「千日回峰行を生きる」(春秋社)というタイトルだが、これが大変に面白い。

圓道師のお姿を拝することの出来る本には、例えば2006年発行の「別冊太陽」や、2008年発行の「和楽」、2010年発行の「修行の本」(学研)などがあり、特に「和楽」はしっかりしたインタビューを含んでいたが、ご自身での著作は、これが初めてだ。

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圓道師ご自身が述べておられるように、今までの阿闍梨さんたちよりお若い世代で、時代や環境、物の考え方も違うから、法の説き方も、自ずから違った雰囲気をまとうが、それは圓道師が地道な小僧修行、籠山修行を積み重ねた結果であるということが、この本を読むとよく分かる。

そして世代が新しい分、今までの回峰行者の阿闍梨様方が積み重ねて来られたものを、すべて情報として蓄積した上で、新たにご自身で工夫を重ねておられることも理解できた。

重い悩み事をたくさん信者さんから相談されてしんどくありませんかとよく聞かれるのですが、一晩寝たら忘れるようにしていますとのこと、ああ、実に明解だ。

「平常心」とは、「心を落ち着かせること」ではなく、「常に普段通りでいること」だとも説いておられるが、千日回峰行者でありながら、等身大の人間として法を説くことが如何に稀有なことか。

圓道師の爽やかで清々しいキャラクターを反映して、この著作も一見、読みやすく、読了にさして時間は掛からないのだが、けれど、皆さま、その平易さを以て、ゆめゆめ侮るなかれ、このご著書は他の「阿闍梨さん本」とは、ちょっと一線を画していると、私は思う。


              
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※上の写真は2009年10月、千日回峰満行後の土足参内の折のもの。光永圓道大阿闍梨は、2015年3月に、十二年籠山を遂業、満行されました。心よりお慶び申し上げます。
                         合掌





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