坊主小咄…お地蔵さんあれこれ | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

お坊さんになりたいと思って、あちこちの神社仏閣を訪ね歩いていた頃のことです。

どこへ行っても、お地蔵さんというものがあるなあと思っていました。なんで、神社の前にお地蔵さんがあるところが多いんだろうとか、自分の住んでいるのと違う町で、気をつけて歩いてみたら、お地蔵さんではなくて、道祖神ばかりで、野の石仏にも地域差があるんだなあとか、そんなことばかり考えていました。

その頃、数少なかったお地蔵さん関係の本も、いろいろと読んでみました。お地蔵さんが出て来る戦争絵本も、いくつかありました。お釈迦さまが亡くなって、56億7千万年後に弥勒菩薩が現れるまでの間、地蔵菩薩が我々を導いてくれるのだと聞いて、なんだ、つまり今のことじゃないか、今この瞬間が、正にその時なんだなと考えながら、お地蔵さんに手を合わせながら思ったものです。

今でもお地蔵さんが好きです。路傍のお地蔵さんには、いつも出来る限り手を合わせるようにしています。


 
 むかし、むかし、ずっと昔、大みそかの夜の事、あなたは米俵を運んだそうですね。

 あなたの小さなからだには、それはとても重かったでしょう、それでもあなたは俵を運んだ、あなたはとてもやさしいからです。

 むかし、むかし、すこし昔、原子爆弾が落ちた時、あなたのお顔は怒りにゆがんだそうですね。

 それはとてもひどかったのでしょう、この世で一番やさしいあなたの顔が、怒りにゆがんだというのだから。

 お地蔵さん、あなたは少しもしゃべりませんね。きっととても無口なんでしょう。
 
 やさしい人はみんなそうです。

                            おしまい。



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