一夜白髪伝説…人の髪は一夜にして恐怖や心労のために白くなるのか? | アジアのお坊さん 番外編

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マリー・アントワネットのように、一夜にして白髪になってしまうという話は、本当なのでしょうか? 科学的な根拠があるのか、それとも伝説として、何か意味や類型があるのでしょうか? と、ある人に聞かれました。中国の演劇に、「白毛女」という、追っ手を逃れて洞窟に隠れる内に、白髪になってしまった女の話もありますが、とのことです。

一夜にして白髪になるという話なら、江戸川乱歩ファンにはお馴染みです。そのものずばりの「白髪鬼」という、同名の黒岩涙香の作品を翻案した小説もあります。

そう言えば、子供の時に読んで、どうしたら一瞬で髪が白くなるのだろうと不思議に思った覚えがあります。今回は申し訳ないのですが、手っ取り早く、インターネットで検索してみました。

そうしたら、化粧品会社のサイトに答があり、一夜で色素が白くなることはないが、ストレスなどで髪に気泡が入り、薄茶色くなることはあるそうです。質問者が例として、マリー・アントワネットと乱歩の「白髪鬼」を挙げていたのが、可笑しかったです。

ちなみに、乱歩の「孤島の鬼」の主人公も一夜で白髪になりますし、「闇に蠢く」でも相好が変化した主人公の描写に、一夜白髪のモチーフが語られます。

また、ナイアガラの滝を樽に入って無事、下ってみせる芸当を演じた男が、見事に成功したものの、樽から出て来たら髪が真っ白だったという挿話も、「白髪鬼」に出て来ますが、乱歩が愛したポオの「メルシュトレエムに呑まれて」は、ノルウェー付近の海の大渦巻きに呑まれた人の頭が真っ白になる話です。

私は寡聞にして、「白毛女」のことは知らなかったのですが、要は一瞬で髪が白くなることはないけれど、過労・心労によって、時間を掛けて徐々に白髪が増えることはもちろんあり、また薄茶色になることもある、以前を知る人にその相好の変化を見られたら、まるで一夜にして白髪になったかのように思われてしまうということではないのでしょうか?





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