お坊さんの喋り方 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

お手伝いに行った先のお寺で、こんなことがあった。

別のお寺さんから電話があって、職員の方が、その電話を受けた。向こうのお寺さん、何だか怒ってる様子でしたがと、その職員に言われた住職が、電話の録音機能で、やり取りを聞き直してみることになった。

私も聞かせてもらったのだが、怒っているのではなく、日本のお坊さん特有の、偉そうな物言いで、一般の方が、怒っていると思ったのも無理はないと思った。

重々しいのと偉そうなのは違うから、お坊さんは気を付けて喋らなければいけない。軽すぎては有難みがないとか、或いはなめて掛かられるなどと思うかも知れないが、お坊さんの目標が慈悲を極めることである以上、偉そうであるよりは、温厚な方がいい。

お坊さんになってすぐの頃、作務衣を着て、在家の友達に会いに行った。町で出会う人に対しての、私の話し方や態度の腰の低さを見た友達に、軽いなあ、お坊さんって、もっと、拙僧のことを何と心得る!みたいに喋るもんじゃないの? と聞かれたことがある。

偉そうでも、重々しいのでもなく、かと言って、軽すぎるのでも卑屈でもなく、普通に温厚に、お坊さんは話をすればいいのだろうけれど、元々の生まれついての性質と、意識して心がけて振る舞う態度と、修行の結果として内面から生じた人格という、3つの要素の掛け算が、お坊さんの喋り方を決定すると思うから、人から偉そうに聞こえた時点で、そのお坊さんの喋り方は、落第なのではないかいなあと…。

以前、用事があって、上方落語協会というところに電話をさせて頂いたら、多分、若手の噺家さんらしき方が、いやー、あちらさんはお役所さんのことでございまっさかいに、果たしてどのくらい、融通を利かせてくれはるかどうやらは分かりませんけども、一ぺん、お尋ねになってみて頂いたらよろしいんやないかいなあと思いますぅ、みたいな回答をして下さったことがあるのだが、私はこういう喋り方が好きだ。




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