これもまた、古い思い出話。
お坊さんの食事に関して、大雑把に言うと、上座部僧すなわちテーラワーダのお坊さんは、午前中に1回乃至2回の食事をし、午後は固形物を摂らない。ただし供養されたものならば、動物性の食品でも食べる。
反対に中国仏教系の大乗仏教では、夜にも食事を摂るが、食べるのは精進料理すなわち菜食だ。ただし日本に関して言えば、菜食を守っているのは一部の寺や僧侶だけで、普通のお坊さんは、一日に三食たべる上に、肉食も可能だ。
テーラワーダと大乗のどちらが偉いという訳でなく、それぞれの仏教文化と歴史の違いなのだが、以前、ある国のテーラワーダ僧の方と話していた時に、大乗仏教では菜食だという話をすると、でも午後にも食事をするんだろう? と勝ち誇ったように言われたことがある。どちらが偉いの話ではないと思うのだが。
さて、昔、インドのブッダガヤの日本寺での話なのだが、日本寺では、そうした海外仏教の状況に鑑み、午後も含めて三食たべるけれど、精進料理すなわち完全な菜食を守っていた。
ある日、駐在同期のH師やY師と一緒に夕食を摂っていた時、ブッダガヤの隣山寺院会の当時の会長だった、肩で風切るタイプの、とあるテーラワーダのお坊さんが、お連れのお坊さんを引き連れて、断りもなしに、ずかずかと日本寺の食堂(じきどう)に入って来たことがある
おっと、午後にご飯食べてるんだね、事情は分かってる、ふふ、そのまま、そのまま、というにやにやした感じで、そう、実際にその通り、こちらはこちらの戒律に従っているだけで、決して悪いことをしている訳ではないにも関わらず、何だか大変、決まりの悪い思いをしたものだ。
何度も言う。たとえ、午後に食事を摂らないというのが、ブッダの定めた本来の戒律だとは言え、これはどちらが偉いとか、どっちがどうだとかいう問題ではないと思うのだが、何年もたった今でも、このことを思い出すたびに、ただ一つだけ、言いたいことがある。
勝手に入って来んといて。
おしまい。
「アジアの精進料理」 も、是非ご覧ください!!
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