ところが、ちょうどそうした先輩方が、みんなそれぞれに巣立って行かれ、私が入山した時は、先輩たちの厳しい教育に耐えて来た、温厚なA師が小僧頭になっておられたのですが、10代の頃から小僧をしておられたA師は私よりも年が若く、私にはいつも敬語を使って下さっていたのも、師の良きお人柄ではありました。
時折り、入れ替わり立ち代り訪ねて来る小僧OBのお坊さんたちに、え、今はAが小僧頭なの? などと言われているのを見るにつけ、そのお坊さんたちではなく、A師の下で修行出来て良かったと、私は秘かに胸を撫で下ろしたことでした。
歩みが遅いと先輩たちに言われ続けていたらしいA師、けれどタケノコ掘りだけは誰よりもうまく、また読経の時は驚くばかりの美声で、お坊さんの世界のことなど何一つ知らなかった私に、いろんなことを教えて下さいました。
そして防火訓練の時の第一発見者役では予想外の名演技、火事だ! 火事だ! のセリフの真に迫ること…すべて思い出すにつけても懐かしい、A師のお人柄ではありました。
私がタイで修行している時くらいまでは、ご連絡も差し上げ、何かとお世話にもなったのですが、私が転々と修行の拠点を変え、いつしかご無沙汰を続けていたところ、先日、すっかり宗派の中で中堅どころとして活躍されているお姿を知る機会があり、こうして思い出を書かせて頂いた次第です。
あの人って、お坊さん向きだと思いますか? ということを、よくお坊さんからも、一般の方からも、ご相談や世間話で聞かれることがあるのですが、そんな時、いつも私は、お坊さんに向いているかどうかを判断する基準は、「人柄」の一語に尽きるとお答えします。
日本人上座部僧のプラユキ・ナラテボー師にしろ、インドの日本寺の駐在同期だったH師にしろ、私が良いお坊さんだと思う日本人のお坊さんたちに共通するのは、その良きお人柄です。
お坊さんになりたてだった頃に、お坊さんにとっていちばん大事なことが何であるのかを、A師のお人柄が私に教えてくれました。
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